クラウドはインフラ化の時代へ!最新の仮想化技術がわかるVIOPS-4を開催へ【デジタルネイティブと企業】
ITニュースなどでも頻繁に「クラウド」というキーワードが飛び交っている。一時はバズワード化していた「クラウド」であるが、09夏以降にシステムやパッケージが登場し始めたことから、話題と業界編成への加速がましている。
「クラウド」を支える重要な技術として「仮想化」があるが、海外では既に仮想化の導入はほぼ完了し、「クラウド」のビジネス展開へと向かっている。日本国内においても、従来と同じサービスのコストダウンが計れる仮想化技術の導入が進んでいる。
こうした仮想化技術の情報交換と共有を目的としたワーキンググループ「VIOPS」は、第4回のワークショップイベントを2009年12月11日に開催する予定だ。
今回のイベントを控え、「クラウド・コンピューティング・エキスポ」に参加されたVIOPSチェアマンでもある株式会社ネットワークバリューコンポネンツ 松本直人氏に、現在のクラウドへむかう世界の状況と仮想化技術について伺った。
■日本は業界で生き残れるのか?
松本氏は、米国カリフォルニア州サンノゼにおいて開催された「1st International Cloud Computing Conference & Expo」 (通称「クラウド・コンピューティング・エキスポ」)に参加、同イベントでクラウドの現状を紹介してくれた。
「半年前は仮想化技術を使うと、自分たちのリソースが減せるというものだった。その状態が北米を見ると、すでに一段落(完了)してしまったんです。その次はクラウドということに移行しています。すでにあるクラウドを『インフラとして永続的に行うので、値段を下げてくれ』というデマンドがあって、『それじゃわかりました。うちのサービスを買ってください』という状態にあります。」と、クラウドに集約されていく現状を語った。
仮想化技術の参入に大きく舵を切り始めた企業といえばオラクルだが、ひとつ面白い話がある。
オラクル CEO ラリー・エリソン氏は「クラウド」という言葉が嫌っていたが、現在では、同社のデータセンターに加えて、買収したソフトウェアベンダーとSaaSを組み合わせてクラウドをパッケージ化し、アナウンスを開始したという。
これまで、否定的な姿勢をとっていても、大きな市場動向に対し、短期間で決断して形にする海外企業の転換の早さは、国内企業にはないものだと松本氏はいう。
「クラウド・コンピューティング・エキスポ」では、オラクルをはじめ、Yahoo!やユニシスといった大手企業が、率先してクラウドを事業展開しようとしているという。2日目以降の基調講演で、オラクルが朝から晩まで講演を展開していた日があり、次にYahoo!やユニシスも同じように講演を展開していたという。また、クラウドサービス事業者のRightScaleはプライベートセミナーを別の部屋で併設もしていた。
資金が動いて市場が動けば、そこから新しい市場が生まれ、さらに利益を生んでくれる。リーマンショック以降の世界市場のように、資金が動かない状態では新しい市場が生まれないうえに経済も停滞してしまう。
大手ベンダーが見ているのは、5年先の利益である。今、それをやっておかないと5年先に利益がでないということになるからだ。そこで今、ベンダーは自分たちに足りないSaaSやPaaSのコンポーネットを投資という形で買いこみ、クラウドビジネスを展開しようとしている。
当然、インフラとしてのクラウドビジネスは集約化・巨大化するわけで、企業間の競争も激化が予想され、業界再編も起こるだろうと松本氏は予測する。
松本氏は「世界的なクラウド、仮想化というものは、日本とは違って、ここ数ヶ月の間に急速にいろいろと進んだ。日本にも海外からの波は押し寄せるだろう。」と、日本における業界再編の可能性も示唆した。
世界的にクラウドは、先端にいる企業などでは、すでにインフラと同意という認識をもってビジネス展開が開始されている。バズワードといわれていたクラウドは、あっというまにリアリティのあるビジネスになりつつある。当然日本国内にも、世界市場への対応が迫られることになり、対応できなければ、海外企業に席巻されるシナリオも想定されるというわけだ。
■現役高校生がVIOPS-4に登場へ
今回の見所のひとつは、「現役高校生が実装するSkip Graph with Erlang」だが、現在、若いエンジニアの台頭が顕著になってきた。
「現在のエンジニア世界の素晴らしいところは、若手が着実に育っているということだ。」と、松本氏は語る。
松本氏によれば、今は学生でもクラウドに興味を持っているし、20代前半の人も集まりつつある。そういう人たちがクラウドの世界を牽引しているというのだ。
近年、すべてに関わるエンジニアが減少し、分業が進んだことで、トータルでサービスやシステムを開発・運用できる人材が減ったといわれている。しかし、ここ数年で、デジタルネイティブと言われる新世代の人たちの台頭がはじまっているのだ。
デジタルネイティブ世代の子供たちは、最初からネットがある時代に生まれたことにより、自分でやりたいことに関しては、よい意味でどん欲にネットを利用して勉強することができる。なかには、数学を学ぶ前にネットから仮想化やクラウドなどを学ぶ人たちが、生まれてきているという。
これまでにはない、優秀な人材が育つ環境が現在はあるのだ。そして、その頭角を現し始めた若い世代が登場し始めているのだ。
ネット業界でもそうだったが、10年間、その業界のトップを走っている人がそこに居続けると、その人が引退したいと新しい人が出ないと言われている。今がまさにそんな時代にきたと言えそうだ。新しい世代の若手が頭角を現す時代がやってきたと言えるのかもしれない。
■第4回ワークショップの内容:VIOPS-4 Workshop
VIOPS-4 Workshop
10:00-11:00 クラウド最新技術動向 〜ビジネスを動かすコア技術〜
株式会社ネットワークバリューコンポネンツ 松本 直人 氏
世界的に普及が進む仮想化・クラウド技術を、利用者および提供者の両側面にたち、 現在利用可能な技術動向を整理することで、現在起こっている技術潮流を俯瞰的する。
11:00-12:00 DHT/分散ストレージの技術研究と実証実験
奈良先端科学技術大学院大学 門林 雄基 氏
2004年より、Distributed Hash Table, 分散ストレージの技術研究とStarBED での実証実験に 取り組んでおり、ソフトウェア開発の過程でいくつかの再利用可能な成果を出しているので 報告する。スケーラビリティを検証することの困難さ、メニイコア環境における Heisenbug などについても述べる。
12:00-13:00 昼食休憩
13:00-14:30 クラウド・ビジネス開発手法 〜市場分析から見える産業構造〜
株式会社ライブドア 奥澤 智子 氏
ヴイエムウェア株式会社 小松 康二 氏
シスコシステムズ合同会社 小桧山 淳一 氏
株式会社ネットワークバリューコンポネンツ 松本 直人 氏
我々を取り巻くビジネス環境では、仮想化・クラウドを機軸とした産業構造の変化が 現在起こりつつある。それらを踏まえた市場ニーズ分析するとともに中長期にわたって 有望とされるクラウド・ビジネスをコスト試算などを踏まえたシミュレーションを行う。
14:30-14:40 一次休憩
14:40-16:10 クラウド運用管理手法 〜運用事例から見えた課題解決〜
インターネットマルチフィード株式会社 外山 勝保 氏
富士通株式会社 新井 雅晴 氏
NTTコミュニケーションズ株式会社 村上 守 氏
NTTコミュニケーションズ株式会社 高橋 健太 氏
仮想化等の基本技術の上で動作するクラウド・コンピューティングでは今まで行っていた エンジニアリング課題以上に、より多くの技術的な配慮や対策が想定されている。 このセッションではクラウドを実際に構築・運用する現場からの課題やその対策を 事例を踏まえて議論する。
16:20-17:20 詳解!クラウド技術 〜システム構造から見る技術理解〜
A: Intel VT 〜仮想化を支える基礎技術〜
株式会社ウェルインテクノロジー 加藤 秀一 氏
仮想化環境でも一般的となったIntel VT(Virtualization Technlogy)について、 運用技術者は利用をしていながら、その動作原理を知らないケースが多々ある。 このセッションでは、仮想マシンとIntel VTに関連する技術の動作原理を解説する。
B:現役高校生が実装するSkip Graph with Erlang
千々和 大輝 氏
今年のInterop2009クラウドコンピューティングコンペティションに応募し、最終選考 を通過してライブデモを実施した「範囲検索ができるキーバリュー型データストア」は、 Skip GraphアルゴリズムをErlangという並列処理用関数型で実装したシステムである。 本セッションではこの実装を行なった本人である現役高校1年生の千々和大輝氏による システムや実装について解説する。
17:20-17:30 VIOPSラップアップ 〜明日を見つめる仮想化技術〜
本会議の総括と今後の展望のまとめ。
18:00- 懇親会(予定)
■VIOPS-4 Workshop
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「クラウド」を支える重要な技術として「仮想化」があるが、海外では既に仮想化の導入はほぼ完了し、「クラウド」のビジネス展開へと向かっている。日本国内においても、従来と同じサービスのコストダウンが計れる仮想化技術の導入が進んでいる。
今回のイベントを控え、「クラウド・コンピューティング・エキスポ」に参加されたVIOPSチェアマンでもある株式会社ネットワークバリューコンポネンツ 松本直人氏に、現在のクラウドへむかう世界の状況と仮想化技術について伺った。
■日本は業界で生き残れるのか?
松本氏は、米国カリフォルニア州サンノゼにおいて開催された「1st International Cloud Computing Conference & Expo」 (通称「クラウド・コンピューティング・エキスポ」)に参加、同イベントでクラウドの現状を紹介してくれた。
「半年前は仮想化技術を使うと、自分たちのリソースが減せるというものだった。その状態が北米を見ると、すでに一段落(完了)してしまったんです。その次はクラウドということに移行しています。すでにあるクラウドを『インフラとして永続的に行うので、値段を下げてくれ』というデマンドがあって、『それじゃわかりました。うちのサービスを買ってください』という状態にあります。」と、クラウドに集約されていく現状を語った。
VIOPSチェアマン 株式会社ネットワークバリューコンポネンツ 松本直人氏 |
仮想化技術の参入に大きく舵を切り始めた企業といえばオラクルだが、ひとつ面白い話がある。
オラクル CEO ラリー・エリソン氏は「クラウド」という言葉が嫌っていたが、現在では、同社のデータセンターに加えて、買収したソフトウェアベンダーとSaaSを組み合わせてクラウドをパッケージ化し、アナウンスを開始したという。
これまで、否定的な姿勢をとっていても、大きな市場動向に対し、短期間で決断して形にする海外企業の転換の早さは、国内企業にはないものだと松本氏はいう。
「クラウド・コンピューティング・エキスポ」では、オラクルをはじめ、Yahoo!やユニシスといった大手企業が、率先してクラウドを事業展開しようとしているという。2日目以降の基調講演で、オラクルが朝から晩まで講演を展開していた日があり、次にYahoo!やユニシスも同じように講演を展開していたという。また、クラウドサービス事業者のRightScaleはプライベートセミナーを別の部屋で併設もしていた。
資金が動いて市場が動けば、そこから新しい市場が生まれ、さらに利益を生んでくれる。リーマンショック以降の世界市場のように、資金が動かない状態では新しい市場が生まれないうえに経済も停滞してしまう。
大手ベンダーが見ているのは、5年先の利益である。今、それをやっておかないと5年先に利益がでないということになるからだ。そこで今、ベンダーは自分たちに足りないSaaSやPaaSのコンポーネットを投資という形で買いこみ、クラウドビジネスを展開しようとしている。
当然、インフラとしてのクラウドビジネスは集約化・巨大化するわけで、企業間の競争も激化が予想され、業界再編も起こるだろうと松本氏は予測する。
松本氏は「世界的なクラウド、仮想化というものは、日本とは違って、ここ数ヶ月の間に急速にいろいろと進んだ。日本にも海外からの波は押し寄せるだろう。」と、日本における業界再編の可能性も示唆した。
世界的にクラウドは、先端にいる企業などでは、すでにインフラと同意という認識をもってビジネス展開が開始されている。バズワードといわれていたクラウドは、あっというまにリアリティのあるビジネスになりつつある。当然日本国内にも、世界市場への対応が迫られることになり、対応できなければ、海外企業に席巻されるシナリオも想定されるというわけだ。
■現役高校生がVIOPS-4に登場へ
今回の見所のひとつは、「現役高校生が実装するSkip Graph with Erlang」だが、現在、若いエンジニアの台頭が顕著になってきた。
「現在のエンジニア世界の素晴らしいところは、若手が着実に育っているということだ。」と、松本氏は語る。
松本氏によれば、今は学生でもクラウドに興味を持っているし、20代前半の人も集まりつつある。そういう人たちがクラウドの世界を牽引しているというのだ。
VIOPSチェアマン 株式会社ネットワークバリューコンポネンツ 松本直人氏 |
近年、すべてに関わるエンジニアが減少し、分業が進んだことで、トータルでサービスやシステムを開発・運用できる人材が減ったといわれている。しかし、ここ数年で、デジタルネイティブと言われる新世代の人たちの台頭がはじまっているのだ。
デジタルネイティブ世代の子供たちは、最初からネットがある時代に生まれたことにより、自分でやりたいことに関しては、よい意味でどん欲にネットを利用して勉強することができる。なかには、数学を学ぶ前にネットから仮想化やクラウドなどを学ぶ人たちが、生まれてきているという。
これまでにはない、優秀な人材が育つ環境が現在はあるのだ。そして、その頭角を現し始めた若い世代が登場し始めているのだ。
ネット業界でもそうだったが、10年間、その業界のトップを走っている人がそこに居続けると、その人が引退したいと新しい人が出ないと言われている。今がまさにそんな時代にきたと言えそうだ。新しい世代の若手が頭角を現す時代がやってきたと言えるのかもしれない。
■第4回ワークショップの内容:VIOPS-4 Workshop
VIOPS-4 Workshop
10:00-11:00 クラウド最新技術動向 〜ビジネスを動かすコア技術〜
株式会社ネットワークバリューコンポネンツ 松本 直人 氏
世界的に普及が進む仮想化・クラウド技術を、利用者および提供者の両側面にたち、 現在利用可能な技術動向を整理することで、現在起こっている技術潮流を俯瞰的する。
11:00-12:00 DHT/分散ストレージの技術研究と実証実験
奈良先端科学技術大学院大学 門林 雄基 氏
2004年より、Distributed Hash Table, 分散ストレージの技術研究とStarBED での実証実験に 取り組んでおり、ソフトウェア開発の過程でいくつかの再利用可能な成果を出しているので 報告する。スケーラビリティを検証することの困難さ、メニイコア環境における Heisenbug などについても述べる。
12:00-13:00 昼食休憩
13:00-14:30 クラウド・ビジネス開発手法 〜市場分析から見える産業構造〜
株式会社ライブドア 奥澤 智子 氏
ヴイエムウェア株式会社 小松 康二 氏
シスコシステムズ合同会社 小桧山 淳一 氏
株式会社ネットワークバリューコンポネンツ 松本 直人 氏
我々を取り巻くビジネス環境では、仮想化・クラウドを機軸とした産業構造の変化が 現在起こりつつある。それらを踏まえた市場ニーズ分析するとともに中長期にわたって 有望とされるクラウド・ビジネスをコスト試算などを踏まえたシミュレーションを行う。
14:30-14:40 一次休憩
14:40-16:10 クラウド運用管理手法 〜運用事例から見えた課題解決〜
インターネットマルチフィード株式会社 外山 勝保 氏
富士通株式会社 新井 雅晴 氏
NTTコミュニケーションズ株式会社 村上 守 氏
NTTコミュニケーションズ株式会社 高橋 健太 氏
仮想化等の基本技術の上で動作するクラウド・コンピューティングでは今まで行っていた エンジニアリング課題以上に、より多くの技術的な配慮や対策が想定されている。 このセッションではクラウドを実際に構築・運用する現場からの課題やその対策を 事例を踏まえて議論する。
16:20-17:20 詳解!クラウド技術 〜システム構造から見る技術理解〜
A: Intel VT 〜仮想化を支える基礎技術〜
株式会社ウェルインテクノロジー 加藤 秀一 氏
仮想化環境でも一般的となったIntel VT(Virtualization Technlogy)について、 運用技術者は利用をしていながら、その動作原理を知らないケースが多々ある。 このセッションでは、仮想マシンとIntel VTに関連する技術の動作原理を解説する。
B:現役高校生が実装するSkip Graph with Erlang
千々和 大輝 氏
今年のInterop2009クラウドコンピューティングコンペティションに応募し、最終選考 を通過してライブデモを実施した「範囲検索ができるキーバリュー型データストア」は、 Skip GraphアルゴリズムをErlangという並列処理用関数型で実装したシステムである。 本セッションではこの実装を行なった本人である現役高校1年生の千々和大輝氏による システムや実装について解説する。
17:20-17:30 VIOPSラップアップ 〜明日を見つめる仮想化技術〜
本会議の総括と今後の展望のまとめ。
18:00- 懇親会(予定)
■VIOPS-4 Workshop
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