アニメーター年収100万 業界は全員「極貧」か
「アニメーターの月収は7万円」といった情報がクローズアップされ、日本のアニメ業界自体が悲惨な状況に置かれているという見方がもっぱらだ。しかし実は、「業界人のかなりの部分は稼げている」のだという。
1日10時間も働いて年収が100万円程度
アニメーターというのは、アニメーションで使用される原画や動画、背景を描く人の総称。アニメ制作の場合、作業の大部分はコンピューターを使うが、最初の作画は手描きが普通で、この作業を行うのがアニメーターだ。その賃金の安さは昔から問題になっていて、生活ができないために職に就いた人の8割から9割が離職している。このため、慢性的な人材不足を招いている。年収は人にもよるが、20代で数年の経験があっても、1日10時間毎日働いて100万円程度。アニメーター募集の際には、低賃金のため「親からの仕送りがある」「親元から通っている」などの条件が付く会社も多いという。
これに加え、長引く不況で、テレビ局などから発注されるアニメ制作費が削られ、DVD化されても1本当たりの販売本数が減少しているため、制作会社の経営も苦しくなっている。こうしたことからアニメ業界の存亡説も囁かれるようになっているわけだが、実は、収入が低いのはアニメーターが突出しているだけで、他の業界関係者はそこそこ儲かっているという関係者もいるのだ。
アニメーション監督のヤマサキオサム(山崎理)さんのブログ「アニメ監督ひねもす日記」(09年6月19付け)には、アニメ関係者すべて貧乏だというのは誤解で、「実はそれほど悲惨でもない」と書かれている。キャリアや実績とは関係なく、担当セクションによって収入に差が出ているというのだ。
賃金格差が仕事ができるアニメーターのプロ減らしている
ヤマサキさんの試算によると、音響監督は同時に2〜3タイトルのアニメを掛け持っているケースが多く、1本15万円の収入で、
「年収2000万円以上稼いでいる音響監督がざらに居る」
シナリオライターも2〜3本掛け持っていて、1本の収入が18万円前後と計算して、月収は30万円程度。ただし、別に脚本印税が支払われるため、作品がヒットすれば収入が上がる。その結果、年収は1000万円ほどになるという。
また、「撮影」はTVシリーズ1話に対して、80万〜100万円を割り振られ、3日〜4日でTVシリーズ1本分の撮影をこなす。
ヤマサキさんは結論として「アニメ業界は決して貧しくなどない。アニメーターが貧しいだけ」と説明している。そして、収入を得ている担当者達が、低賃金に喘ぐアニメーターと比較し、「それだけ作品に貢献しているのか?」と疑問を呈している。つまり、こうした賃金格差が、仕事ができるアニメーターのプロを減らしているのではと見る。
「予算配分が明らかにおかしい!!となぜ動画協会に加盟している製作&制作会社のプロデューサーは思わないのか?この状態を放置すると、本当に作品が作れなくなっていくことが想像出来ないのか?」
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