村上春樹の5年ぶりとなる長編「1Q84」(全2巻)が去る5月29日に発売された。

発売前にすでに4刷が決定し、発行部数は2巻合計で68万部。オンライン書店大手のアマゾンに2万部の予約が集まるなど、異例の注目が集まっている。


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「前情報なしに読みたい」という読者の声を反映して、発行元の新潮社は事前情報をいっさい公開せずに発売日を迎えたのだそうだ。
いよいよ発売となった「1Q84」だが、果たして買いなのだろうか?

発売前は、


  • 春樹の新作となれば、買わなきゃだめでしょう。
  • ずっと待っていた新作です。あらすじもなにもわかりませんが、それだけに期待が高まります!
  • 日本が誇る世界的な作家に成長した春樹氏。私生活も充実しているようなので楽しみです。

など、期待に胸を高める意見が連発されていたが、発売後は、やはり意見が分かれてしまったようだ。


  • これぞ春樹的世界! 神秘的な気持ちになりました。
  • 村上春樹の集大成的作品です。そしてこれまでに感じたほどがないくらい力強い。
  • 透明感と喪失感、そしてユーモアが滲む村上さんワールドを堪能。すばらしい!

といった評価もあれば、


  • 村上ブランドは神格化してしまった。信者にはありがたいのかもしれないけどね、という新作。
  • 村上作品をあまり評価していない人が読んでも仕方ないかも。これまでと一緒です。
  • 事前情報がないのに、ここまで売れてしまうことに疑問。

など、話題性が先行しすぎているという意見も見受けられた。
しかし、買いか否かという問題では、「1Q84」は間違いなく、買いだろう。


  • 「1Q84」について、他の人と意見交換できるのが楽しみ。
  • 話題についていくために、一応買うことにしました。

という書き込みにもある通り、この本が話題となることで、たくさんの同じ人が本を読み、内容について考えて、話し合う機会が得られるだろうからだ。

「本が売れない時代」と言われ、雑誌などの休刊、廃刊が目立つ昨今、読者の存在が確認できたことは非常に喜ばしいことだ。ただ、一極集中に留まらず、「1Q84」をきっかけに、ほかの作家の作品も売れてほしい、というのが正直な感想だ。
さまざまな本をめくって、はじめて理解できる村上春樹のすばらしさも、きっとあるのではないだろうか。


(井上晶夫)




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