近年、対人関係の問題などから、就労・就学などの社会的活動を行わない若者の増加が社会問題となっている。ひきこもる若者たちと、その家族の悩み…こうした社会情勢の深層に迫れるか。

東京都は平成20年度の「ひきこもりの実態調査」を実施、その結果を発表した。

都は、平成19年度より、ひきこもりの若者への効果的な支援策を講じるため、その基礎資料となる「若年者自立支援調査研究」に取り組んでいる。

19年度の調査では、「ひきこもり」の若者の人数推計を行うとともに、その意識傾向を明らかにしたが、20年度は、その実態を更に深く調査している。

調査によると、都内において、ひきこもりの状態にある若年者の人数はおよそ2万5千人と推計されることがわかった。これは、都民の0.72%にあたる。このうち、ひきこもり該当者の年齢層を見ると、30歳から34歳が44%と最も高く、半数近くを占める結果となった。

これらの人がひきこもるきっかけとしては、職場への不適応など、就労に関わるつまずきが多く挙げられた。年代別に見ると、34歳以下では不登校が53%と最も多く、次いで人間関係の不信が42%、職場不適応が13%などとなっている。一方35歳以上では、職場不適応が47%と最も高く、以下、人間関係の不信の33%、病気の22%などとなっている。

また、35歳以上ではひきこもり期間が7年以上となる人が61%と圧倒的に多いことがわかった。34歳以下でも7年以上ひきこもりを続けている人が15%となっている。


また、都の調査により「ひきこもり親和群」についても、その存在が新たに認められるようになった。ひきこもり親和群とは、「自分も、家や自室に閉じこもりたいと思うことがある」「理由があれば家や自室に閉じこもるのも仕方がないと思う」など、ひきこもりに対する理解を示す項目で高得点であった層を分類したものだ。

ひきこもり親和群の学歴は、実際にひきこもりを続けている人たちと比べて高く、「孤独感・寂しさ」といった面でで悩みを抱えていることがわかった。


今回の調査を受けて都は、高年齢層で職場不適応がきっかけとなりやすいことを指摘するとともに、全年齢層におけるひきこもりのきっかけ別の継続期間に差が見られないにもかかわらず、高年齢層における継続期間が長いことから、高年齢層においてはひきこもりが長期化するおそれがあると推測している。

都は今後、ひきこもりの未然防止への取り組みをさらに進めるほか、ひきこもりへの対応とあわせて、若者の様々な悩みに対応する総合相談を実施していくとしている。

(編集部 鈴木亮介)

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