【最新ハイテク講座】花粉対策の必需品!風邪予防もできる「ハイテクマスク」の秘密
今年も花粉症の人にはつらい季節がやってきた。花粉症対策の定番といえば、「マスク」だ。
以前のマスクは、ただのガーゼ製であったが、ここ最近の花粉症用マスクは一味も二味も違うハイテクマスクとなっている。
健康食品や医薬品などをネット販売するケンコーコム調査でも、花粉関連商品の売れ筋トップ10の第1位はマスクだ。
・2008年花粉関連商品売れ筋成分TOP10 - News2u.net
花粉用マスクは風邪用マスクと同じに見えるが、その中身のフィルターは最先端のバイオ技術を応用したハイテク製品なのだ。花粉用マスクはどこがスゴイのか? その知られざるハイテク技術に迫ってみよう。
■マスクの種類と利用目的
マスクは、顔の一部または全体に被さるアイテムの総称であるが、ここで取り上げるマスクは薬局やコンビニエンスストアで販売されている鼻や口を覆うマスクだ。このようなマスクは、衛生マスクと作業マスクの2種類に大別できる。
衛生マスクは、文字通りに「衛生」を目的とした商品で、花粉対策用マスクや風邪用マスク、半導体工場などで使用される衛生管理マスクがある。
一方、作業マスクは、工事現場で活躍している防塵マスク(レスピレータ)、医療現場で使用されている手術用マスク(サージカルマスク)などだ。
●衛生マスクの基本構造と種類
衛生マスクは、口や鼻をフィルターで覆うことで、花粉などの微粒子が体内に侵入するのを防ぐ役割を果たす。そのために、フィルターはきめ細かいほうがよいし、マスクは顔に密着させたほうがよい訳だ。
衛生マスクは、素材の違いで、織布マスクと不織布マスクがある。
・織布マスク
昔からあるタイプのマスク。目が粗いガーゼやナイロンを複数枚重ねあわせ、さらに口当て用にガーゼを使用する構造だ。通常は、12枚から30枚のガーゼを重ねあわせるので、マスクが分厚くなってしまうが、後述する不織布タイプに比べて呼吸がしやすい。
・不織布マスク
繊維を織らずに絡み合わせたシート状のマスク。強度は織布マスクに若干劣るが、マスクを薄くできるのに加え、マスクにプリーツ加工を施したり、顔にフィットするように立体的に加工できる利点がある。もともとは防塵マスクとして使用されていたが、機密性が高いことから最近は花粉対策用や医療用のマスクとしても利用されている。もっとも代表的なマスクは、「N95マスク」と呼ばれるマスクだ。
N95マスクは、米国労働安全衛生研究所(NIOSH)が定めたN95規格に適合したマスク。「N95」のNは耐油性が無いこと※を表し、95は0.3マイクロメートルの試験粒子を95%以上捕集できることを表している。つまり、Nの次の数値が高ければ高いほど微粒子の補塵性能がよいということになる。上位モデルには「N98」というマスクもある。
※Not resistant to oil
スギ花粉の大きさは20〜40マイクロメートル※なので、M95マスクは花粉対策用として使用しても申し分ない性能を持っているのだ。
※1ミリの20分の1〜40分の1
ちなみに、結核菌は2〜4×0.3〜0.6マイクロメートルなので、N95マスクは結核菌を防止する医療用マスクとしても使用できるほどだ。「N95」はフィルターの性能を示すものであり、マスクと顔との密着性を保証している訳ではない。花粉用のN95マスクは、医療用とは構造的に違う製品もあるので注意が必要だ。
●花粉用と風邪用との違い
花粉用と風邪用を別々に出しているメーカー、両用を出しているメーカーと、メーカーごとに対応状況が異なる。
ユニチャームの「立体マスク」は、花粉用と風邪用の2種類があり、構造が異なる。風邪のウイルスは花粉よりも小さいので、花粉用はフィルターが1層構造であるのに対し、風邪用は3層構造となっている。風邪のウィルスは花粉よりもはるかに小さいため、風邪用マスクは花粉用マスクの代用が可能だが、その逆はできない。
●ハイテクマスクの課題
優れた性能を持つハイテクマスクにも課題が残されている。マスクは顔に密着するほど、花粉対策の効果は高くなるが、呼吸がしづらくなる。
メーカーごとに対応状況は異なるが、不織布タイプのマスクは立体に加工しやすいことから、マスクと口元の間に空間を作ることで、息苦しさを軽減している商品がある。
●高機能なハイテクマスクたち
最近は、N95マスクのほかにも多機能なマスクが数多く登場している。
・濡れマスク
人間ののどには粘膜があり、風邪やインフルエンザのウイルスが体内に侵入するのを防ぐ仕組みになっている。空気が乾燥しがちな冬に風邪がはやるのは、のどの粘膜がかわきやすいからだ。オフィスや自宅であれば、加湿器で部屋の空気に潤いを与えられるが、外出時はそうもいかない。
濡れマスクはフィルター内に水分が含まれ、その水分は呼吸により蒸気となってのどを潤す。さらに高密度のフィルターで、空気中のウイルスもカットする仕組みだ。
・帯電フィルター内蔵のマスク
タマガワの「花粉専用マスク」は、柿カテキン抗菌フィルターと高性能帯電フィルターの2層構造により、高い粉じん捕集効率と通気性の良さを両立された。
鼻にぴったりとフィットするノーズフィット構造※により、花粉がマスクの隙間から侵入するのを防いでくれる。
※鼻に当たる部分に針金を内蔵しているので、自分の鼻に合わせてマスクの形を変えて密着させることができる
・吸着分解マスク
東京大学と富士通研究所で共同開発した「光触媒チタンアパタイト」と呼ばれる新素材をマスクのフィルターに使用することで、花粉や細菌、ウイルスなどの有害物質を高い吸着力でとらえ、太陽の光によって二酸化炭素と水に分解するというもの。
タマガワの「吸着分解マスク」は、高いフィルター効果を持つ立体3層構造を採用している。第1層の光触媒チタンアパタイトで大半の有害物質を遮断し、第1層を通過した場合でも第2層でほぼ完全に捕集する。第3層は、口元に直接あたるので、湿気に強く、肌にやさしい不織布を使用している。
・はがせるシート付きマスク
「めくってキレイ!マスク」は、特殊静電フィルターの技術に加え、マスクの内側の口元にあたる部分に「はがせるシート」が付いている。
女性がマスクを装着したとき、口紅やファンデーションでマスクの口元を汚してしまっても、はがせるシートをはがしてキレイに使えるようにとの配慮だ。
参考
・マスク | N95マスク - ウィキペディア
・ケンコーコム - 企業サイト
・タマガワ - 企業サイト
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以前のマスクは、ただのガーゼ製であったが、ここ最近の花粉症用マスクは一味も二味も違うハイテクマスクとなっている。
健康食品や医薬品などをネット販売するケンコーコム調査でも、花粉関連商品の売れ筋トップ10の第1位はマスクだ。
・2008年花粉関連商品売れ筋成分TOP10 - News2u.net
花粉用マスクは風邪用マスクと同じに見えるが、その中身のフィルターは最先端のバイオ技術を応用したハイテク製品なのだ。花粉用マスクはどこがスゴイのか? その知られざるハイテク技術に迫ってみよう。
マスクは、顔の一部または全体に被さるアイテムの総称であるが、ここで取り上げるマスクは薬局やコンビニエンスストアで販売されている鼻や口を覆うマスクだ。このようなマスクは、衛生マスクと作業マスクの2種類に大別できる。
衛生マスクは、文字通りに「衛生」を目的とした商品で、花粉対策用マスクや風邪用マスク、半導体工場などで使用される衛生管理マスクがある。
一方、作業マスクは、工事現場で活躍している防塵マスク(レスピレータ)、医療現場で使用されている手術用マスク(サージカルマスク)などだ。
●衛生マスクの基本構造と種類
衛生マスクは、口や鼻をフィルターで覆うことで、花粉などの微粒子が体内に侵入するのを防ぐ役割を果たす。そのために、フィルターはきめ細かいほうがよいし、マスクは顔に密着させたほうがよい訳だ。
衛生マスクは、素材の違いで、織布マスクと不織布マスクがある。
・織布マスク
昔からあるタイプのマスク。目が粗いガーゼやナイロンを複数枚重ねあわせ、さらに口当て用にガーゼを使用する構造だ。通常は、12枚から30枚のガーゼを重ねあわせるので、マスクが分厚くなってしまうが、後述する不織布タイプに比べて呼吸がしやすい。
・不織布マスク
繊維を織らずに絡み合わせたシート状のマスク。強度は織布マスクに若干劣るが、マスクを薄くできるのに加え、マスクにプリーツ加工を施したり、顔にフィットするように立体的に加工できる利点がある。もともとは防塵マスクとして使用されていたが、機密性が高いことから最近は花粉対策用や医療用のマスクとしても利用されている。もっとも代表的なマスクは、「N95マスク」と呼ばれるマスクだ。
織布マスク | 不織布マスク |
N95マスクは、米国労働安全衛生研究所(NIOSH)が定めたN95規格に適合したマスク。「N95」のNは耐油性が無いこと※を表し、95は0.3マイクロメートルの試験粒子を95%以上捕集できることを表している。つまり、Nの次の数値が高ければ高いほど微粒子の補塵性能がよいということになる。上位モデルには「N98」というマスクもある。
※Not resistant to oil
スギ花粉の大きさは20〜40マイクロメートル※なので、M95マスクは花粉対策用として使用しても申し分ない性能を持っているのだ。
※1ミリの20分の1〜40分の1
ちなみに、結核菌は2〜4×0.3〜0.6マイクロメートルなので、N95マスクは結核菌を防止する医療用マスクとしても使用できるほどだ。「N95」はフィルターの性能を示すものであり、マスクと顔との密着性を保証している訳ではない。花粉用のN95マスクは、医療用とは構造的に違う製品もあるので注意が必要だ。
●花粉用と風邪用との違い
花粉用と風邪用を別々に出しているメーカー、両用を出しているメーカーと、メーカーごとに対応状況が異なる。
ユニチャームの「立体マスク」は、花粉用と風邪用の2種類があり、構造が異なる。風邪のウイルスは花粉よりも小さいので、花粉用はフィルターが1層構造であるのに対し、風邪用は3層構造となっている。風邪のウィルスは花粉よりもはるかに小さいため、風邪用マスクは花粉用マスクの代用が可能だが、その逆はできない。
●ハイテクマスクの課題
優れた性能を持つハイテクマスクにも課題が残されている。マスクは顔に密着するほど、花粉対策の効果は高くなるが、呼吸がしづらくなる。
メーカーごとに対応状況は異なるが、不織布タイプのマスクは立体に加工しやすいことから、マスクと口元の間に空間を作ることで、息苦しさを軽減している商品がある。
●高機能なハイテクマスクたち
最近は、N95マスクのほかにも多機能なマスクが数多く登場している。
・濡れマスク
人間ののどには粘膜があり、風邪やインフルエンザのウイルスが体内に侵入するのを防ぐ仕組みになっている。空気が乾燥しがちな冬に風邪がはやるのは、のどの粘膜がかわきやすいからだ。オフィスや自宅であれば、加湿器で部屋の空気に潤いを与えられるが、外出時はそうもいかない。
濡れマスクはフィルター内に水分が含まれ、その水分は呼吸により蒸気となってのどを潤す。さらに高密度のフィルターで、空気中のウイルスもカットする仕組みだ。
・帯電フィルター内蔵のマスク
タマガワの「花粉専用マスク」は、柿カテキン抗菌フィルターと高性能帯電フィルターの2層構造により、高い粉じん捕集効率と通気性の良さを両立された。
鼻にぴったりとフィットするノーズフィット構造※により、花粉がマスクの隙間から侵入するのを防いでくれる。
※鼻に当たる部分に針金を内蔵しているので、自分の鼻に合わせてマスクの形を変えて密着させることができる
・吸着分解マスク
東京大学と富士通研究所で共同開発した「光触媒チタンアパタイト」と呼ばれる新素材をマスクのフィルターに使用することで、花粉や細菌、ウイルスなどの有害物質を高い吸着力でとらえ、太陽の光によって二酸化炭素と水に分解するというもの。
タマガワの「吸着分解マスク」は、高いフィルター効果を持つ立体3層構造を採用している。第1層の光触媒チタンアパタイトで大半の有害物質を遮断し、第1層を通過した場合でも第2層でほぼ完全に捕集する。第3層は、口元に直接あたるので、湿気に強く、肌にやさしい不織布を使用している。
タマガワの「吸着分解マスク」 | 「吸着分解マスク」のパッケージ |
・はがせるシート付きマスク
「めくってキレイ!マスク」は、特殊静電フィルターの技術に加え、マスクの内側の口元にあたる部分に「はがせるシート」が付いている。
女性がマスクを装着したとき、口紅やファンデーションでマスクの口元を汚してしまっても、はがせるシートをはがしてキレイに使えるようにとの配慮だ。
参考
・マスク | N95マスク - ウィキペディア
・ケンコーコム - 企業サイト
・タマガワ - 企業サイト
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