大山志保=第3ラウンド、3番パー3であわやホールインワン!(写真/田辺安啓=JJ)

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「ゴルフは4日間の勝負ですから」とは、宮里藍の口からしばしば出るフレーズだが、今年の全米女子オープンは雷による中断と日没サスペンデッドの繰り返しで、1日が1ラウンドになっていない。こうなってくると、宮里の言葉を「ゴルフは4ラウンドの勝負ですから」に変更しなければならないな――なんてことを考えていたら、宮里本人がそのフレーズ通りのゴルフを実行していることに気が付いた。

今大会には3人の日本人選手が出場しているが、米ツアーを主戦場にしているのは言わずと知れた宮里だけ。大山志保と横峯さくらは日本ツアーからの出場で、いずれも初出場だ。しかしながら、「お客さん」である2人のほうが宮里を上回る成績で第1ラウンド、第2ラウンドを終え、今日の午後から行なわれた第3ラウンドは宮里だけが「裏街道」の10番スタート。日本人メディアの間からは「藍ちゃんが落ち込んじゃうんじゃないかな」という声も聞こえてきた。

しかし、第2ラウンドを終えた宮里の表情が想像以上に明るくてびっくり。ラウンド前の「練習グリーンが重かったので、その感覚が入ってしまった」という出だしの数ホールはパットの距離感が狂い気味でひやひやさせられた。しかし、その感覚も徐々に戻り、「ドライバーも振れているので、午後は大丈夫です!」

そして、「午後」の第3ラウンド。裏街道だけあってギャラリーはまばらだし、取材陣も数えるほど。だが、宮里本人は顔を上げて前を向き、大きく手を振りながらフェアウエイをずんずん歩いていた。確かに、ドライバーは思い切りよく振り切っていたし、長いパットも絶妙の距離感でカップに寄せ、2つのボギーも叩いたけれど2つのバーディも奪った。そんな彼女の姿を眺めていたら、取材で歩き回ってクタクタの足も不思議と前に出た。

第3ラウンドもフィニッシュできず、4ホールを明日の早朝から消化した上で最終ラウンドに臨むことになるが、宮里は相変わらず笑顔でハキハキと語った。「前半(第2ラウンド)は神経を使いすぎないようにした。後半(第3ラウンド)のために気持ちで体力を使いたくなかったんです」。なるほど。米ツアー選手の宮里が日本から来た初出場の大山や横峯より成績が悪かったら「藍ちゃんが落ち込んじゃう」なんて考え方は取り越し苦労で、宮里自身は自分の4日間、いや4ラウンドの展開と配分を考えながら視点をどんどん先送りして進んでいたのである。「メジャーなので誰もが(どうなるか)わからない状態にある。みんなにチャンスがある。(自分にも)上に行けるチャンスは十分あると思う」

そう、ゴルフは4ラウンドの勝負。宮里の口癖を今大会風にアレンジしたこのフレーズ。宮里はもちろんのこと、大山、横峯、そして全選手に当てはまる。肝心なのは、明日の最終日、4ラウンドを終了したとき、どの位置にいるかということだ。(舩越園子/在米ゴルフジャーナリスト)