「わたしと年金」エッセイ募集が物議 金融庁報告の直後、タイミング悪く...
日本年金機構が「わたしと年金」をテーマにしたエッセイの募集を呼び掛けており、ネット上では物議を醸している。
折しも、金融庁の金融審議会が「人生100年時代」を見据えた報告書を公表し、年金だけでは老後の暮らしが足りず、資産形成が必要などと示したばかり。ネット上では、「『わたしの年金は?』ってエッセイ書きたいわ」など、さまざまな意見が飛び交っていた。
ネット「『わたしの年金は?』ってエッセイ書きたいわ」
エッセイ募集は、日本年金機構が厚生労働省と連携して実施。2019年6月3日に募集を始め、9月13日に締め切る。機構公式サイトの該当ページでは、「公的年金の大切さや意義を、皆さまと一緒に考えていきたいと思います」と応募を呼び掛け、作品については「公的年金の大切さ、社会保障としての公的年金の意義など、公的年金に関するエピソードを盛り込んだ内容であれば、なんでも結構です」とうたっている。
日本年金機構のアカウントは6月5日、エッセイ応募を呼び掛ける投稿をツイート。金融庁の報告書が3日に発表されていたため、投稿のタイミングをめぐり、ネット上では、「あんな発表して悪いのは金融庁だけど、なんだかなぁって感じだよね」「不正統計が発覚して大問題になってる時、総務省が統計標語を募集して炎上したけど、なんか自爆しないといけないルールでもあるの?」など、いぶかる声が相次いだ。
同ツイートに対し、リプライは5日夕時点で235。エッセイのテーマに絡め、
「17歳から働いて払っているけど貰える歳には有りますか?支給も70歳に引き上げるつもり?」
「わたしのおじいちゃんは若い頃、60歳になったら退職して年金で暮らすんだ、と言っていたそうです。今は65歳まで働けるように元気でいなくちゃ、と言っています。みんなが100歳まで元気でいられるように、年金の開始は100歳からにしたら良いんじゃないかと思いました。(小学生)」
など、年金制度への批判や皮肉を込めるユーザーもいる一方、
「『年金は将来得するとか損するとか、そういうものじゃないんです。仮に自分が1円も貰えないとしても、喜んで『納めさせていただく』、そういう気持ちを大切にしたい。もちろん老後の資金は自分で用意します。ありがとう年金機構。』こんな感じで書けば賞貰えますか?」
と問いかけるツイートも。エッセイのテーマにかけて、
「わたしと、じゃなくて『わたしの年金は?』ってエッセイ書きたいわ(笑)」
と発言するユーザーもいた。
担当者「毎年この時期に募集開始」
こうしたネット上の反応などについて、J-CASTニュース編集部では6月6日、機構の広報担当者に取材をし、話を聞いた。
担当者は、「当機構が設立された平成22(2010)年から、エッセイ募集の事業は継続して行っており、毎年この時期に募集を開始している」と説明。金融庁の資料公表とのタイミングが近かったことについては、「私どもは独立をしたもの。エッセイの募集はエッセイの募集として、この時期に毎年行っている」と話していた。
初年度にエッセイ募集を実施した際は、「わたしの提言」がテーマだったが、翌年からは「わたしと年金」にしたという。応募作が批判的な内容でも問題ないのかとの質問には、「執筆をされる方の表現のものによるものなので、どういった内容のものが適切である、というふうに申し上げることは致しかねる」と答えるに留めた。
なお、ネット上の受け止めについては、担当者は「ネット上でのコメントの書き込みを確認しているようなところはない」としていた。
(J-CASTニュース編集部 田中美知生)