横浜戦で2ゴール・1アシストの圧巻のパフォーマンスを見せた水沼。その胸中には特別な想いがあった。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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[J1リーグ11節]C大阪3-0横浜/5月11日/ヤンマースタジアム長居

 圧巻のパフォーマンスだった。開始わずか2分に強烈なミドルシュートで先制ゴールを奪うと、後半には絶妙なクロスで高木のゴールをアシスト。極めつけは、65分。右サイドを駆け上がってダメ押しの3点目まで決めてみせた。

 前節の松本山雅FC戦に続き、この横浜F・マリノス戦でリーグ戦2試合連続の先発出場を果たした水沼宏太は、不調だったセレッソ大阪を今季初の連勝に導く活躍で、しっかりと監督の起用に応えてみせた。9節まではほとんどが途中出場で、主な出番はリーグカップだっただけに、格別な気概はあっただろう。

「連勝しようという気持ちで臨みました。チームが良くなかった時に、とにかく何かを変えないといけないって、ずっと外から見て思っていましたし、自分が出た時には、こういうプレーをしてやろうとか、チームを前向きにさせるためには何が必要かを考えて、毎日取り組んでいた。それをこうやってスタメンで使ってもらって、ピッチ上で表現できたのは良かった。走るところと裏を狙うところは自分の長所でもあるので、そこは惜しまずやれたのかなと思います」
 
 この日の活躍は、定位置獲得への強烈なアピールになっただけではない。水沼は特別なふたつの想いを胸に秘めて、ピッチに立っていた。ひとつが家族への感謝だ。

「こういうところで決められたら、ちょっと親孝行になるかなと思って、今日は密かに狙っていました。母だけでなく奥さんもいつも本当に支えてくれている。こういう機会で点を決めて、勝って、感謝の気持ちを伝えられるのは、なかなかない。今日は結果を残して、言葉で伝えることができたので良かったと思います」
 
 母の日を翌日に控える試合で、やはり日頃はなかなか言いづらい想いを伝えたかったと語る。そして、もうひとつ水沼が抱いていたのが、古巣への想いだ。
 
 中学時代から横浜の下部組織で育ち、プロ3年目の夏までの計8年半を過ごしただけに、愛着は強い。
 
「マリノスへ特別な気持ちは少なからずある。こうやって点を取ることで自分の存在を思い出してもらえたらいいなと。今日は結果として良かったかなと思います」
 
 家族への感謝を伝え、古巣にその存在をアピールできたという意味でも、この日の2ゴール・1アシストというセンセーショナルな活躍は、水沼にとって忘れらないものになったに違いない。
 
取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)

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