広島の丸佳浩

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◆ リーグMVPの最有力候補

 広島が27年ぶりの地元胴上げを果たして4日。優勝決定後も2勝1敗と手綱を緩めることなく、悲願の日本一を見据えている。

 その広島で昨季に続きセ・リーグMVPの最有力候補に挙がっている丸佳浩。ほとんどの打撃項目ですでに昨季以上の数字を残している。

丸佳浩の打撃成績】

17年:143試合(打率.308/23本塁打/92打点/出塁率.398/長打率.505/OPS.903)

18年:120試合(打率.316/38本塁打/96打点/出塁率.477/長打率.645 OPS1.122)

※2018年成績は9月29日現在

 

 今季は近年まれに見る“打高投低”のシーズンとはいえ、文句の付けどころがない数字が並ぶ。そんな丸だが、今季は決して順風満帆なシーズンではなかった。

 4月下旬の阪神戦で右太ももを痛め、約1カ月間の離脱を強いられた。連続出場試合も「700」でストップ。5月下旬に復帰後は代打で3打数無安打、2三振を喫し、チームの状態も決して良くなかった。

◆ モンスター級の出塁能力

 その後、丸はスタメンに復帰。6月以降は本塁打を量産し、夏場以降、チームが独走する立役者となった。素晴らしい数字を残している打撃項目の中で、特に突出しているのが出塁系の成績だ。

 125四球はセ・リーグ2位の山田哲人(ヤクルト)の103四球を大きく引き離し、断トツ。後ろを打つ4番鈴木誠也もMVP級の活躍を見せており、決して相手投手が丸との勝負を単純に避けているわけでない。

 もし丸が、チーム残り5試合で5四球を選べば、王貞治氏以来、プロ野球史上2人目のシーズン130四球を達成する。ちなみに王氏は1974年にマークしたプロ野球記録の158四球をはじめ合計4度、130四球以上を記録している。

▼ シーズン歴代最多四球

158:王 貞治(巨人/74年/130試合)

142:王 貞治(巨人/66年/129試合)

138:王 貞治(巨人/65年/135試合)

130:王 貞治(巨人/67年/133試合)

128:金本知憲(阪神/01年/140試合)

 もし丸に春先のケガがなければ、すでに“130超え”を達成していただろう。また、出塁率も「.477」と高い数字を残している。もし.480台にのせることができれば、1986年の落合博満氏(ロッテ)とバース氏(阪神)以来、32年ぶりの快挙となる。

▼ 歴代最高出塁率

【セ】出塁率.481:バース (阪 神/86年/126試合)

【パ】出塁率.487:落合博満(ロッテ/86年/123試合)

※1985年以降規定以上

 広島が悲願を達成するには、当然丸の活躍が必要不可欠となるだろう。昨季のクライマックスシリーズ・ファイナルステージでは打率.250、1本塁打、3打点という結果に終わり、悔しい思いをした。果たして今季は、モンスター級の出塁能力で広島を34年ぶりの日本一に導けるだろうか。

文=八木遊(やぎ・ゆう)