決勝では後半早々にベンチへと下がったカンテ。その交代には明確な理由があった。 (C) Getty Images

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 激戦が繰り広げられたロシア・ワールドカップは、クロアチアとの決勝で4-2と完勝したフランスの20年ぶり2度目の戴冠で幕を閉じた。

 平均年齢26.0歳の若きレ・ブルーは、久々の美酒に酔いしれ、国民に喜びを与えた。その幾多の激闘のなかで、寡黙に仕事を続け、影の立役者と呼ぶにふさわしい活躍を披露したのが、エヌゴロ・カンテだ。

 驚異的なスピードで世界の度肝を抜いたキリアン・エムバペや圧倒的なパーソナリティーと力強さで中盤を牛耳ったポール・ポグバに比べれば、カンテのプレーは地味だが、開幕戦から準決勝までは全6試合にフル出場を果たし、チームには欠かせない存在であった。

 しかしカンテは、クロアチアとの決勝で55分にステベン・エヌゾンジと途中交代。優勝の瞬間をベンチから眺めた。
 

 この交代後からフランスが立て続けにゴール決めたことで、多くの地元メディアが「ディディエ・デシャンの驚きの采配」と賛辞を寄せたが、実はこの時、カンテは、体調不良に苛まれていたという。

 パリの地元紙『Le Parisien』によれば、この日の早朝から胃腸炎を患っていたカンテは、無理をして出場したが、デシャンとの話し合いの末にベンチに下がることになったというのだ。同紙は、「彼は本当に辛そうだった。苦しんでいながら先発としてプレーしたことは驚きだった」と綴った。

 胃腸炎の痛みを抱えながらも、モドリッチやラキティッチなどを抑え込もうと奮闘したカンテ。そのプレーぶりは、あっぱれの一言であった。