税金どう変わる"年収別ビフォーアフター"

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2018年から配偶者控除が改正され、20年からはサラリーマンの増税がスタートする。手取り額が減るだけに、家計には大問題だ。どれだけ増税になるのか、試算を行った。

2018年の配偶者控除の改正につづき、20年からはサラリーマンの増税が予定されている。報道を見て心配な人も多いだろう。そこで、20年の税額がこれまで(17年の税額)と比べてどう変わるかを試算したのが表だ。

20年からの改正のポイントは2つ。まず、増税の対象になるのは年収850万円超のサラリーマンだけだ。また、22歳以下の子や要介護の家族がいる人は増税しないとされている。

表中に減税の人がいるのは、18年に配偶者控除・配偶者特別控除が改正されたため。妻のパート年収150万円(従来は103万円)まで38万円の控除が受けられるなどで、妻の年収によっては18年から減税になる。

なお、「控除」とは、収入から差し引ける項目のこと。税額は、収入から控除額を引いた後の「課税所得」に税率を掛けて計算する。このため控除が増えると税金が減り、控除が減ると税金が増えることになる(図参照)。

■高収入サラリーマンの、優雅な家計を狙い撃ち

一方、高収入の恵まれたサラリーマンは増税のターゲットだ。

20年の改正では、原則として納税者全員が受けられる「基礎控除」が38万円から48万円へと10万円引き上げられるが、同時に、サラリーマンの年収に応じて決まる「給与所得控除」が一律10万円引き下げられる。

これだけなら控除はプラスマイナスゼロで税額は変わらない。だが、給与所得控除の上限額が引き下げられる。20年からは年収850万円で上限の195万円に達するため、これを超える人は増税になるというわけだ。

しかも、年収1220万円を超える人は、18年の改正により、18年から妻の収入にかかわらず配偶者控除がゼロになる。高収入で子育てが終わり、要介護の家族もいない優雅な専業主婦家庭は、ここから増税のダブルパンチだ。

さらに年収が約2700万円ともなると、20年から基礎控除もなくなる。税率が高いだけに、増税額も大きい。

さて、今回は増税を免れる人も油断はできない。普通の収入のサラリーマンも、いつ増税の対象になるかわからないからだ。さらに、19年10月から消費税も10%に上がる見込みだ。財布のヒモは引き締めておきたい。

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▼2018年からスタートした改正のポイント
(配偶者控除・配偶者特別控除の改正。夫サラリーマン、妻パートの場合)
(1)38万円の控除が受けられる妻の年収を103万円→150万円に引き上げ
(2)配偶者特別控除を受けられる妻の年収を引き上げ
(年収141万円まで控除額38万円〜3万円→年収約201万円まで控除額38万円〜1万円)
(3)夫の年収によって控除額が縮小・消失
(夫の年収1120万円超で縮小、1220万円超で控除ゼロ)


▼2020年からスタートする改正のポイント
(サラリーマンの場合)
(1)基礎控除を38万円→48万円に引き上げ
(2)給与所得控除を一律10万円引き下げ
(3)給与所得控除の上限額を引き下げ
(年収1000万円超で上限220万円→年収850万円超で上限195万円)
(4)22歳以下の子や介護が必要な家族がいる場合は負担増にならない措置あり
(5)年収約2600万円(所得2400万円)超で基礎控除が段階的に縮小・消失

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深田晶恵(ふかた・あきえ)
ファイナンシャルプランナー
独立系FP会社・生活設計塾クルー取締役。「すぐに実行できるアドバイスを心がける」がモットー。近著は『サラリーマンのための「手取り」が増えるワザ65』(ダイヤモンド社)。

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(ファイナンシャルプランナー 深田 晶恵 構成=有山典子)