<北朝鮮の攻撃力を過小評価するアメリカは「諜報に失敗」している?>

北朝鮮の電磁パルス(EMP)攻撃を受けた場合のアメリカの被害予想は甚大だ。

CIAの核専門家だったピーター・プライらがまとめた報告書で、都市機能や通信網を破壊する電磁パルス(EMP)攻撃によって、アメリカ国内の電力などインフラが破壊され、食糧供給も壊滅することで、人口の9割が死亡する可能性があると試算された。インディペンデントや英サン紙など複数メディアが報じた。

北朝鮮が電磁パルス攻撃を仕掛けた場合、大気圏より上空の弾道を通ってアメリカ(もしくは他の標的)上空に到達すると爆発。目に見えない電磁気エネルギーを放出し、アメリカ全体の電力網、電話回線、さらにはインターネットの接続にダメージを与える。

難易度低いEMP攻撃

北朝鮮の攻撃と言えば、7月4日に発射した大陸間弾道ミサイル(ICBM)が記憶に新しいが、ここに来てなぜEMP攻撃が注目されているのか。

それはEMPの被害範囲が広く、さらにICBMなど他の兵器よりも高い精度を要求されることがないため、攻撃の難易度は下がると報告書は指摘する。

EMP攻撃はアメリカ全土に網羅された電力網にダメージを与え、全国民およそ3億2200万人が利用する通信インフラを破壊することが予測される。忘れてはならないのが、航空機関の管制システムも被害を受けるということだ。

プライは、「(EMP攻撃を受けた場合)北米上空を飛行する旅客機が墜落して最大で50万人の乗客が死亡する」と被害予想を経済紙フォーブスに語った。また、核爆発による放射性物質の飛散で農業をはじめ食糧供給が壊滅的な打撃を受け、国民の9割が1年以内に死亡するとみている。

ニューズウィーク日本版ウェブ編集部