トランプ大統領の「火力と怒りに直面するぞ」の警告を無視し、金正恩が6回目の核実験を強行した。6回の核実験によって北朝鮮は核弾頭小型化の技術を手に入れた可能性が高い。核開発をストップさせるのは、もはや手遅れとの見方が強まっている。とうとうアメリカでは、北朝鮮の核保有を認める容認論が広がっている。

 どうせアメリカは何もできない――と、金正恩がトランプの足元を見たのは間違いない。

 米朝開戦となったら、米兵5万2000人が犠牲になるとシミュレーションされているだけに、たとえ北朝鮮が核実験を実施しても、アメリカが武力行使に踏み切るのはハードルが高いからだ。しかも、トランプは北朝鮮問題に関わっている余裕がない。

「今、アメリカ国民の最大の関心は、テキサス州を襲った大型ハリケーンです。被害総額は12兆円とされ、死者は44人、いまだに数万人が避難所に身を寄せ、復興には数年かかるといわれています。だから、トランプ大統領は2度も被災地に入った。対応に追われているトランプ大統領に、北朝鮮危機を考える余裕はないでしょう。アメリカ国民も北朝鮮への関心は薄い。トランプ大統領は、とても武力行使に踏み切れる状況ではありません。北朝鮮は、そうしたアメリカの状況を冷静に観察したはずです」(国際ジャーナリスト・堀田佳男氏)

 トランプは北朝鮮の核実験に対して、「アメリカにとって非常に敵対的で危険だ」とツイッターに投稿したが、経済制裁は効かず、カンタンには武力行使にも踏み切れず、手詰まりになっているのが実態だ。戦略の練り直しを迫られている。

 そこで、アメリカ国内では、北朝鮮の核保有を認める容認論が強まっている。

 オバマ政権で大統領補佐官を務めたスーザン・ライスは、ニューヨーク・タイムズ紙に「北朝鮮が核兵器を放棄する可能性は低い」「我々は北朝鮮の核兵器に耐えることができる」と寄稿している。北朝鮮の核保有はやむを得ないという立場だ。インドとパキスタンも、それぞれ6回の核実験を実施した後、事実上の核保有国として認められている。

「アメリカにとって最悪なのは、北朝鮮の核がアメリカに向くことと、テロリストに核が渡ることです。それを防ぐために、今ある核の保有を認めた上で、これ以上の開発を凍結させ、厳しく管理させた方が合理的だという声は根強くあります。インドやパキスタンと同じ扱いです。何より、北朝鮮が核を保有していることは現実ですからね」(堀田佳男氏)

 金正恩の狙いは「核保有国」としてアメリカと対等に交渉し、平和条約と相互不可侵条約を結ぶことだ。恐ろしいことに、北の独裁者のシナリオ通りに進み始めている。