「過呼吸」はどうして起こる? 原因と正しい対策

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執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ


パニック障害などの症状として知られる「過呼吸」。

名前を聞いたことがある人は多いと思いますが、原因や対策についてはよく知らないという人もいることでしょう。

今回はこの過呼吸について、詳しくご説明いたします。

過呼吸ってどんな状態?

「過呼吸(過換気)」とは、1回の呼吸による換気量が増加してしまう状態をいいます。

私たちは酸素を吸い、二酸化炭素を吐くことで呼吸をしています。この呼吸などの働きによって、血液の水素濃度はpH7.35〜7.45に保たれています。


ところが、過呼吸になって1回あたりの呼吸による換気量が増えてしまうと、血液の水素濃度がpH7.45以上になってしまいます。

この状態は身体がアルカリ性に傾いた状態で、これによって身体にいろいろな症状が現れるようになります。

過呼吸が起こる原因

過呼吸を引き起こす原因はいくつかあります。

・化学受容体(周辺の物質に反応して、脳の呼吸中枢に情報を伝える役割を持つ)の異常によるもの


例:低酸素血症、代謝性アシドーシス(呼吸以外の原因で体内が酸性に傾く)

・肺や気道内の異常によるもの


例:肺気腫、間質性肺炎、気管支喘息

・内分泌系の病気によるもの


例:甲状腺機能亢進症

・薬剤によるもの


例:サリチル酸、メチルキサンチン誘導体など

・脳神経疾患によるもの


例:中枢神経系病変(感染や脳腫瘍など)

・そのほか


例:過換気症候群など

このように、過呼吸を症状とする病気は複数あります。そのため、これらの病気にかかっている人であれば、必ずとは言えないものの、過呼吸の症状が現れる可能性はあります。


ここまで過呼吸を症状とする病気を挙げましたが、中でも過換気症候群は脳や呼吸器、心臓などに異常がなく、かつ、薬剤などによる影響がなくても起こり得るものです。

どのようなことが原因になるのか、詳しく見ていきましょう。

過換気症候群について

過呼吸発作が起きているのに、検査をしても異常が見つからない場合、「過換気症候群」と診断されることがあります。

過換気症候群になり過呼吸が起こると、息苦しさや動悸、心拍数の増加が起こります。また、身体がアルカリ性に傾くことによって、口や手足のしびれ、吐き気やめまい、けいれんなどの身体症状が現れます。

発作が起こると、本人は死の恐怖さえ感じますが、実際に病院で検査しても異常は見つかりません。

過換気症候群は、不安、恐怖、緊張、過労、高温、過度な運動など心身のストレスが原因で呼吸に関わる自律神経や呼吸中枢が異常をきたすことが原因と考えられています。

過呼吸を引き起こす病気として、パニック障害やうつ病、自律神経失調症などがよく知られていますが、これらはどれもストレスが発症に関係しています。

過換気症候群は10〜20代の若い女性に多い傾向にあります。ただし、これはあくまで傾向にすぎないため、この層に該当しない人でも、発症の可能性はゼロとはいえません。

過呼吸(過換気症候群)の正しい対策

過換気症候群は心身のストレスが原因であるため、ストレスをためやすい人や先ほど挙げたような疾患(パニック障害、うつ病、自律神経失調症)を持つ人はとくに注意が必要です。

予防法としては、リラックスする時間を持つなど、ストレスを発散することが大切です。

もし、過呼吸が起こってしまった場合は、腹式呼吸をするようにしましょう。発作中はどうしても「吸う」ことを意識しがちですが、「吐く」ことを意識するようにしてください。

過呼吸のときは呼吸が早くなっています。

通常の呼吸は、吸気と呼気の割合が1:2で呼気が長くなります。これに対して過呼吸の時は、呼吸の割合は1:1となり、通常よりも吐く時間が短くなっています。

本人は苦しいので息を吸おうとしますが、ヒトは息を吐かないと吸えないため、息を吐くことを意識して腹式呼吸を行う必要があります。

また、過呼吸の対処法として、かつては口に紙袋を当てて呼吸をする「ペーパーバッグ法」がよく行われていましたが、最近では低酸素状態を招くことが分かってきたため、推奨されていません。

もし、周りに誤った対処法をしている人がいたら、正しい対処法(腹式呼吸)を教えてあげましょう。

【参考】
日本医師会 『過換気症候群とは…』(http://www.med.or.jp/forest/check/kakokyu/01.html)


<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当


<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供