96猫「バトルしては敗北して…1年以上、向き合ってきた」――1stシングル『嘘の火花』インタビュー
去年メジャーデビューを果たし、これまでに2つのアルバムを送りだしてきた96猫が、満を持して、自身初のシングル『嘘の火花』を3月15日にリリースする。TVアニメ『クズの本懐』のOPテーマである本作。「アニメ盤ジャケットって夢だったんです」と笑顔を見せるが、世に出るまでに1年以上の歳月を費やした“難産”だった――。タイアップ曲を歌うという難しさに試行錯誤しながら、96猫が必死の思いでたどり着いた答えに、耳を傾けたい。
取材・文/照沼健太 デザイン/ないとうはなこ
――メジャーデビュー以来、2枚のアルバムをリリースされてきましたが、シングルは今回が初なんですね。
シングルのリリースはずっとやってみたかったことのひとつなので、決まったときは嬉しかったです。アニメ盤ジャケットというのも夢だったので、それも嬉しいですね!
――シングルとなると、アルバムとは意識が変わるものですか?
シングルだからといって意識は変わらず、どんな形態でもより良いものを届けたい、自分が満足できるものを作りたい、という思いです。でも、タイアップがついているというところには違いを感じました。
――『嘘の火花』は、アニメ『クズの本懐』のOPテーマですね。主人公の安良岡花火と粟屋 麦は、互いに思いを寄せる相手がほかにいながらも、ぬくもりを求め合う高校生カップル。歪んだ恋模様が描かれていますが、作品のことはご存知でしたか?
いえ、タイアップをいただけることになってから1巻を買って……ドハマリしました(笑)。ドロドロしていて、まるで昼ドラのような……。
――ドロドロした作品はお好き?
ドロドロした恋愛にはあまり共感できないんですけど、だからむしろ疑似体験みたいな感じで楽しむことができました。もしこういうシチュエーションを体験したら、こういう感覚なんだろうなって。
――じゃあ作中の人物で共感できる人はいない?
誰もいないですね!!(笑)茜先生は作品を代表するキャラクターだと思うんですけど、まったく共感できないです(笑)。
――皆川 茜先生は、一見清純派に見えるけど全部計算されていて、実はかなり歪んだ性格の持ち主ですよね。では、好きなキャラというと……
えっちゃん(絵鳩早苗)が好きです。
――花火に好意を寄せている同性の友人ですね。
途中から歪んじゃう部分もあるけれど、基本的には好きな人の幸せを応援するっていう、どこにでもある乙女心を持った子だと思います。
――『嘘の火花』を最初に聴いたときは、どう思いましたか?
最初は「合うのかな?」と思いました。ラフで楽曲を提出した段階では、歌詞も和風で、和の楽器が使われていたり、和ロックみたいなアレンジだったので、歌い方や声も全然違っていたんですよ。
――当初と今では、まるで違う印象の楽曲に?
そうなんです。そこからまったく別のイメージに変わったので、切り替えるのも大変でしたね。この曲は歌うのも難しくて、完成するまでに1年以上かかったと思います。
――1年!? ずっとこの曲と向かい合っていたんですね。
ずっと向かい合って、バトルして敗北して、またバトルしてっていう感じでした。
――苦戦したポイントというのは?
どうしてもタイアップということを意識してしまって、アニメに寄せすぎた歌い方をしていたんですよね。「この歌い方なら96猫じゃなくて、他の人でもいいんじゃないか…?」って、私を含め、スタッフみんなが思っていた、みたいな。誰も言葉にはしなかったけれど。
――ちょっと不本意な内容になりそうだった、と。
でも、最終納期ギリギリのタイミングで、制作の方から「以前の歌い方のほうがよかった」と言われて。それをキッカケに、現場のスタッフさんも私も、お互いに思っていることをハッキリ言おうと話し合いの場を設けてもらったんです。そこで私は「正直、この歌い方なら自分じゃなくてもいいと思います」と話をして……。
――作品に寄せながらも、96猫さんらしさを出して歌う、ということですよね。
それでラストチャレンジをしてみることになって、最後に歌ったものが今回の音源になっています。胸を張って「『クズの本懐』のOPです」と言える内容になりました!
――アップテンポな楽曲で、テクニック的にもとても難しいなと思ったのですが。
メロディーも行ったり来たりしているので、感情を乗せることが難しかったですね。ライブで歌えと言われても青ざめちゃうと思います(苦笑)。
――Bメロの速さがものスゴくて……。
あははは。ライブだと後ろで音源を流しておいて、私は踊るしかないなぁ(笑)。でも、みなさんに「歌ってみた」でぜひ歌ってみてほしいですね。どういう歌い方をするんだろう?とか、「弾いてみた」だったらどういうアレンジをするんだろう?とか気になります。
――実際にアニメのOPとして放送されたのをご覧になって、いかがでしたか?
もともと、アニメの映像を無音で流して、それにあわせて歌ったりしていたんです(笑)。そんなことをやらなくても、テレビから自分の声が流れてくるというのは……もうニヤけちゃいますね。でも1話の放送のときは、めちゃくちゃ不安でした。
――不安?
アニメのOPってとても大事だと思うし、作品のイメージに合ってるかどうかって、自分自身が見る側のときに重視していたことなので……。原作ファンの方がどんな反応をされるか、めちゃくちゃ不安だったんです。「胃が痛い…胃が痛い…」って言いながら、酸欠になりながらエゴサーチしてました(笑)。
――そうだったんですか。
思ったより受け入れてもらっていて、嬉しかったです。96猫を知らなかった人が、「このOP曲好き」って言ってくれていたり。すごくいい一歩を踏み出せたかなと思いました。
――今回のアートワーク、今まではお名前通り「黒」のイメージが強かったですが、本作では正反対の「白」のイメージになっていますね。
『クズの本懐』のキャラクターたちは、自分の心に噓をついていて、でも赤い糸でそれぞれがつながっていっている、という印象だったんです。だから私自身も金髪や黒というイメージの正反対へ、嘘をつくイメージでいってみようと思って、このビジュアルになりました。白い空間は、空っぽの心の中を表現しています。
――通常盤では、96猫さんの代わりに黒猫が。
1stアルバムのジャケットにも登場してもらった猫ちゃんで、ロイドちゃんって言います。撮影中、なかなかピシッと立っていられなくて、すぐふにゃんとなっちゃって。飼い主さんがピシッと立たせようとするんですけど、すぐふにゃんとなる…っていうのを30分くらい繰り返し、なんとか撮影できました(笑)。
――そんな撮影ウラ話が(笑)。
みんなで「ロイドちゃん!」って呼びかけながら撮影しました(笑)。楽しい現場でした。
――夢だったとお話していた、アニメ盤ジャケットについてはいかがですか?
すごく嬉しいですし、大好きです。自分、エロいの大好きなんで(笑)。もしかしたら店頭で買いづらいとか、友だちに貸しづらいとかいう人もいるかもしれないんですけど、私はこれを掲げて街を歩きたいくらいです!! 注目ポイントは脚!!
――ジャケットの裏面では、花火と麦の脚が絡み合ってるという。
そうなんですよ。その絡み方がエッチなので、ぜひお手にとって見てみてくださいね!
――作品に関連して、96猫さんの恋愛観についてもお伺いします。以前、奥 華子さんのラジオに出演された際、自らを「恋愛体質だと思う」とお話されていましたね。
恋愛体質なんですけど、恋にこぎつけないっていう。出会いがないんですよね。
――出会いがあれば恋はしたい?
したいです。ニコニコ生放送でも「どうしたら彼氏ができるかな?」ってリスナーさんに問いかけてるくらい。「96ちゃん、まず家から出ようよ」「そうだよねー」なんて(笑)。
――じゃあ今は、妄想することで恋したい欲を満たしている…?
むしろ妄想でしか生きていない。自分の中で線を引いちゃうんですよ。その線をぶち壊さないと、自分は恋できないんじゃないかと思いますね。
――線?
同じ界隈の人は絶対にイヤだけど、でも出会いって基本的に同じ界隈でしかないんですよね。新しい出会いは、バイトでも始めない限りないだろうなぁ(笑)。
――どんな人が好みのタイプですか?
海外の人が好きです。価値観も違うだろうし、だからこそ新しい発見がありそうだなって。
――英語はお得意なんですか?
全然話せないです。だから日本語を話せる方がいいですね(笑)。小学生のときにすごく好きになった男の子がいたんですけど、その頃好きだったアニメのキャラクターとは全然違うタイプの人でした。だから理想のタイプと、実際に好きになる人は違うんだろうなーと思ってはいるんですけど。
――もし好きな人ができたら、一直線にいくタイプ?
そうですね。超「好き好き!」ってなると思います。そのくせ自分の時間は欲しいので、「邪魔しないで」とか言っちゃう、面倒くさいタイプになると思いますね(笑)。
――他に恋人に求める条件はありますか?
……浮気するなら事前に言ってほしいです。
――えっ、浮気すること自体はいいんですか!?
どうしてもマンネリ化する時期ってあると思うので、そういうときは先に言ってほしいなって。隠すなら隠すで、墓まで持って行ってほしい。あ、それと猫アレルギーじゃない人のほうがいいです(笑)。
取材・文/照沼健太 デザイン/ないとうはなこ
作品に寄り添いながら、自分らしさを表現すること。
――メジャーデビュー以来、2枚のアルバムをリリースされてきましたが、シングルは今回が初なんですね。
シングルのリリースはずっとやってみたかったことのひとつなので、決まったときは嬉しかったです。アニメ盤ジャケットというのも夢だったので、それも嬉しいですね!
――シングルとなると、アルバムとは意識が変わるものですか?
シングルだからといって意識は変わらず、どんな形態でもより良いものを届けたい、自分が満足できるものを作りたい、という思いです。でも、タイアップがついているというところには違いを感じました。
――『嘘の火花』は、アニメ『クズの本懐』のOPテーマですね。主人公の安良岡花火と粟屋 麦は、互いに思いを寄せる相手がほかにいながらも、ぬくもりを求め合う高校生カップル。歪んだ恋模様が描かれていますが、作品のことはご存知でしたか?
いえ、タイアップをいただけることになってから1巻を買って……ドハマリしました(笑)。ドロドロしていて、まるで昼ドラのような……。
――ドロドロした作品はお好き?
ドロドロした恋愛にはあまり共感できないんですけど、だからむしろ疑似体験みたいな感じで楽しむことができました。もしこういうシチュエーションを体験したら、こういう感覚なんだろうなって。
――じゃあ作中の人物で共感できる人はいない?
誰もいないですね!!(笑)茜先生は作品を代表するキャラクターだと思うんですけど、まったく共感できないです(笑)。
――皆川 茜先生は、一見清純派に見えるけど全部計算されていて、実はかなり歪んだ性格の持ち主ですよね。では、好きなキャラというと……
えっちゃん(絵鳩早苗)が好きです。
――花火に好意を寄せている同性の友人ですね。
途中から歪んじゃう部分もあるけれど、基本的には好きな人の幸せを応援するっていう、どこにでもある乙女心を持った子だと思います。
――『嘘の火花』を最初に聴いたときは、どう思いましたか?
最初は「合うのかな?」と思いました。ラフで楽曲を提出した段階では、歌詞も和風で、和の楽器が使われていたり、和ロックみたいなアレンジだったので、歌い方や声も全然違っていたんですよ。
――当初と今では、まるで違う印象の楽曲に?
そうなんです。そこからまったく別のイメージに変わったので、切り替えるのも大変でしたね。この曲は歌うのも難しくて、完成するまでに1年以上かかったと思います。
――1年!? ずっとこの曲と向かい合っていたんですね。
ずっと向かい合って、バトルして敗北して、またバトルしてっていう感じでした。
――苦戦したポイントというのは?
どうしてもタイアップということを意識してしまって、アニメに寄せすぎた歌い方をしていたんですよね。「この歌い方なら96猫じゃなくて、他の人でもいいんじゃないか…?」って、私を含め、スタッフみんなが思っていた、みたいな。誰も言葉にはしなかったけれど。
――ちょっと不本意な内容になりそうだった、と。
でも、最終納期ギリギリのタイミングで、制作の方から「以前の歌い方のほうがよかった」と言われて。それをキッカケに、現場のスタッフさんも私も、お互いに思っていることをハッキリ言おうと話し合いの場を設けてもらったんです。そこで私は「正直、この歌い方なら自分じゃなくてもいいと思います」と話をして……。
――作品に寄せながらも、96猫さんらしさを出して歌う、ということですよね。
それでラストチャレンジをしてみることになって、最後に歌ったものが今回の音源になっています。胸を張って「『クズの本懐』のOPです」と言える内容になりました!
アニメ1話の放送時、酸欠になりながらエゴサーチ!?
――アップテンポな楽曲で、テクニック的にもとても難しいなと思ったのですが。
メロディーも行ったり来たりしているので、感情を乗せることが難しかったですね。ライブで歌えと言われても青ざめちゃうと思います(苦笑)。
――Bメロの速さがものスゴくて……。
あははは。ライブだと後ろで音源を流しておいて、私は踊るしかないなぁ(笑)。でも、みなさんに「歌ってみた」でぜひ歌ってみてほしいですね。どういう歌い方をするんだろう?とか、「弾いてみた」だったらどういうアレンジをするんだろう?とか気になります。
――実際にアニメのOPとして放送されたのをご覧になって、いかがでしたか?
もともと、アニメの映像を無音で流して、それにあわせて歌ったりしていたんです(笑)。そんなことをやらなくても、テレビから自分の声が流れてくるというのは……もうニヤけちゃいますね。でも1話の放送のときは、めちゃくちゃ不安でした。
――不安?
アニメのOPってとても大事だと思うし、作品のイメージに合ってるかどうかって、自分自身が見る側のときに重視していたことなので……。原作ファンの方がどんな反応をされるか、めちゃくちゃ不安だったんです。「胃が痛い…胃が痛い…」って言いながら、酸欠になりながらエゴサーチしてました(笑)。
――そうだったんですか。
思ったより受け入れてもらっていて、嬉しかったです。96猫を知らなかった人が、「このOP曲好き」って言ってくれていたり。すごくいい一歩を踏み出せたかなと思いました。
――今回のアートワーク、今まではお名前通り「黒」のイメージが強かったですが、本作では正反対の「白」のイメージになっていますね。
『クズの本懐』のキャラクターたちは、自分の心に噓をついていて、でも赤い糸でそれぞれがつながっていっている、という印象だったんです。だから私自身も金髪や黒というイメージの正反対へ、嘘をつくイメージでいってみようと思って、このビジュアルになりました。白い空間は、空っぽの心の中を表現しています。
――通常盤では、96猫さんの代わりに黒猫が。
1stアルバムのジャケットにも登場してもらった猫ちゃんで、ロイドちゃんって言います。撮影中、なかなかピシッと立っていられなくて、すぐふにゃんとなっちゃって。飼い主さんがピシッと立たせようとするんですけど、すぐふにゃんとなる…っていうのを30分くらい繰り返し、なんとか撮影できました(笑)。
――そんな撮影ウラ話が(笑)。
みんなで「ロイドちゃん!」って呼びかけながら撮影しました(笑)。楽しい現場でした。
――夢だったとお話していた、アニメ盤ジャケットについてはいかがですか?
すごく嬉しいですし、大好きです。自分、エロいの大好きなんで(笑)。もしかしたら店頭で買いづらいとか、友だちに貸しづらいとかいう人もいるかもしれないんですけど、私はこれを掲げて街を歩きたいくらいです!! 注目ポイントは脚!!
――ジャケットの裏面では、花火と麦の脚が絡み合ってるという。
そうなんですよ。その絡み方がエッチなので、ぜひお手にとって見てみてくださいね!
出会い求む! 恋愛に踏み切れない「恋愛体質」。
――作品に関連して、96猫さんの恋愛観についてもお伺いします。以前、奥 華子さんのラジオに出演された際、自らを「恋愛体質だと思う」とお話されていましたね。
恋愛体質なんですけど、恋にこぎつけないっていう。出会いがないんですよね。
――出会いがあれば恋はしたい?
したいです。ニコニコ生放送でも「どうしたら彼氏ができるかな?」ってリスナーさんに問いかけてるくらい。「96ちゃん、まず家から出ようよ」「そうだよねー」なんて(笑)。
――じゃあ今は、妄想することで恋したい欲を満たしている…?
むしろ妄想でしか生きていない。自分の中で線を引いちゃうんですよ。その線をぶち壊さないと、自分は恋できないんじゃないかと思いますね。
――線?
同じ界隈の人は絶対にイヤだけど、でも出会いって基本的に同じ界隈でしかないんですよね。新しい出会いは、バイトでも始めない限りないだろうなぁ(笑)。
――どんな人が好みのタイプですか?
海外の人が好きです。価値観も違うだろうし、だからこそ新しい発見がありそうだなって。
――英語はお得意なんですか?
全然話せないです。だから日本語を話せる方がいいですね(笑)。小学生のときにすごく好きになった男の子がいたんですけど、その頃好きだったアニメのキャラクターとは全然違うタイプの人でした。だから理想のタイプと、実際に好きになる人は違うんだろうなーと思ってはいるんですけど。
――もし好きな人ができたら、一直線にいくタイプ?
そうですね。超「好き好き!」ってなると思います。そのくせ自分の時間は欲しいので、「邪魔しないで」とか言っちゃう、面倒くさいタイプになると思いますね(笑)。
――他に恋人に求める条件はありますか?
……浮気するなら事前に言ってほしいです。
――えっ、浮気すること自体はいいんですか!?
どうしてもマンネリ化する時期ってあると思うので、そういうときは先に言ってほしいなって。隠すなら隠すで、墓まで持って行ってほしい。あ、それと猫アレルギーじゃない人のほうがいいです(笑)。