Wi-Fiアレルギーにより体調を崩した女性(出典:http://www.somersetlive.co.uk)

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ネット社会に生きる我々は、公共の場でインターネットやスマホが使えるWi-Fiエリアをつい探してしまう癖がついている。ところが便利なものであるはずのWi-Fi電磁波によって片頭痛を起こし、家から出られなくなってしまった女性がいるという。

英サマセット州のチャードに暮らすキム・デ=アッタさんは、Wi-Fiやスマホ、テレビなどの電磁波によって片頭痛などの体調不良を引き起こす「電磁波過敏症」だ。

携帯電話のシグナルなどほんの少しの電磁波にも反応してしまうキムさんは、滅多に外出することができない。家族や友人などにも会うことができず、旅行とも縁がない生活を送っているのだ。

そんなキムさんは、地元紙『SomersetLive』に「ほとんどの人が私のことを『おかしいんじゃないか?』って思ってるわ。電磁波に何も感じない人には理解するのが難しいのでしょう。もう長い間、家族や友人にも会っていないの。今年、2人の訪問客が半日ずつあったきりで、心が折れそうになるわ」とその苦しい胸のうちを明かす。

10代の頃、南ロンドンに住んでいたキムさんはテレビが自分の体に不調をきたすことに気付いた。後に看護師として働き始めて携帯電話を所有したが、使うたびにその電磁波が頭に激しい痛みをもたらしたという。

「(携帯電話を)初めて使った時は、頭にレーザーが走ったような衝撃を受けたわ。」

それ以降もキムさんの症状は悪化。30歳になった時に自然が広がり“聖地”と呼ばれるグラストンベリーへ、瞑想と東洋哲学を教えるために引っ越した。電磁波を避けるためでもあった転居だが、数年後にはその中心部に携帯電話基地局が建てられ、電波が行き届くようになってしまった。

「図書館にいたら、腕が痺れて顔が焼けるように熱くなったの」とその頃のことを語るキムさん。片頭痛や痙攣、痺れ、感染症や神経疾患に悩まされるようになり、医師は「『電磁波過敏症』だろう」と診断した。しかし動悸、耳の痛み、腰痛まで発症したことから、キムさんはグラストンベリーに住み続けることも困難になってしまった。

ちょうどその頃、10年ほど会っていなかったおばが亡くなるという不運に見舞われた。キムさんはおばが亡くなる前に、このまま彼女に会わなければきっと後悔すると思い、意を決して会いに出かけたそうだ。その時には電磁波を遮断するシールドを頭から被ってバスに乗ったという。「ものすごく変な格好をしていたから辛かったわ。でもおばに会えてよかったと思ってるの」とキムさんは語っている。

その後キムさんは、いとこにお金を援助してもらい、グラストンベリーを出て電波の届かない場所を求めて世界中を旅した。しかしどこに行っても携帯電話基地局が建てられており、電磁波を避けて暮らすことは難しいと悟った。帰国後、電波が弱く制限された場所にしか届かないチャードという町に暮らすようになり、今もそこで生活をしているが、それでもまだキムさんの症状は治まっていない。

普段のキムさんはすっかり家に引きこもる状態になっており、家の中でも電磁波を避けるシールドを使用しているという。

ちなみに現在の医学では「電磁波過敏症」は病状とは認められておらず、心気症の一つであると示唆するデータもある。しかしキムさんのように電磁波によって様々な症状が起こり、日常生活に支障をきたすほどの問題となるケースも実際に存在する。キムさんはこの深刻な症状をもっと世間に知ってもらいたいと話している。

出典:http://www.somersetlive.co.uk
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)