広島カープが25年ぶりに優勝し、歓喜に沸く広島の街。おかげで財布のひもが緩みっぱなしだが、市民のフトコロを温かくしてくれる商品があった。それが「もみじ銀行」(本店・中区)が1995年から実施する「カープV貯金」だ。

カープの成績に応じて、預貯金の金利が預け入れ時の店頭表示利率に上乗せされる。優勝すると0.2%(税引き前、以下同)にもなるのだ!仮に100万円を預けた場合、現在の店頭表示利率の0.025%に0.2%プラスされた0.225%の金利がつく。本来の年間利息は250円だが、なんと2,250円に大幅増額される!

申し込みはすでに終了して、総額は過去最高の1,981億円にもなった。メガバンクの定期預金の利率0.01%に比べると、驚くべき金利になる。もみじ銀行の金利の負担も約4億円となったそうだが−−。

「GWを過ぎてからもカープの成績はよかったので、6月30日の募集を締め切ってからもお客様からの問い合わせが殺到しました。地元が盛り上がり、ファンの皆様が喜んでくれるのが何よりです。先日は『宝くじ付き定期預金』で高額当せん者が出たので『神ってる銀行』といわれています。もちろん来年も応援定期預金は実施する予定です」(同行広報担当)

じつは今、こうした地元のプロ野球、Jリーグなどのチームを応援する「定期預金」は、全国の地方銀行や信用金庫で続々販売されている。本誌が調べたところ、プロ野球とJリーグ(J1、J2)だけでも、30近くに上った。ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんは語る。

「サッカーではJ1、J2のほかにも、J3や地域リーグ、女子のなでしこリーグ、プロバスケットリーグなども、地元のチームを応援しようと、今年もたくさんの『応援定期』が販売されました。地銀や信金では、少しでも預金者を増やそうと、定期預金に宝くじを付けるなど、お得なキャンペーンを実施しています。低金利の時代に少しでもお金を増やしたいというとき、活用するのはオススメです」

さっそく商品を見てみよう。プロ野球は、セ・パ両リーグともに、スーパー定期など預け入れ時の店頭表示金利に、3位、2位、優勝など順位が上がるごとに金利が増える「上乗せ」タイプが中心。

Jリーグでは、川崎信用金庫の「川崎フロンターレ創立20周年記念特別定期預金」やアビスパ福岡の「アビスパ福岡応援定期預金」、横浜銀行の「FC町田ゼルビア応援定期」など、預け入れるだけでメガバンクの10倍以上もの金利がつく定期預金がある。

J2では、ホームゲームで1勝すると、0.01%ずつ金利がプラスされる定期預金も登場した。ファジアーノ岡山の成績は9月11日現在、16勝7負8引き分けで、おかやま信用金庫の応援預金はそれに連動して、適用金利は0.185%にもなった。

最大で0.43%といちばん高い金利が上乗せされるのは、山形銀行の「モンテディオ山形サポーターズ定期2016」。7試合ごとの成績とホームゲーム入場者数で適用金利が決定される。12月末日時点の定期預金の預け入れ総額の0.01%をクラブ強化費として寄付をするそうで、資金面でもサポーターになる仕組みだ。

基本的に地銀や信金で口座を開くことができるのは、その金融機関の営業地域に住む人に限られているが−−。

「インターネットで口座開設ができる『インターネットバンキング』が利用できる銀行であれば、全国どこからでも口座を開くことができます。インターネットバンキングがない場合でも、支店があれば、そこから申し込むことができます」(風呂内さん)

今年はすでに募集が終わった定期が多いが、来年の同時期に募集が行われる可能性は高い。まずはこの冬のボーナスをしっかりためておき、来年の発売に備えよう!