ウルトラマンの人気復活 立役者は長野博とつるの剛士だった!

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2016年で放送開始50周年を迎えるウルトラマンシリーズ、言わずと知れた日本を代表するスーパーヒーローとして今なお、絶大な人気を誇っています。
しかし、ウルトラマンたちにもいわゆる冬の時代がありました。新しいテレビシリーズが作られず、ラーメンのCMで3分待てずに帰ってしまう滑稽な姿を晒したこともありました。そんな人気の「低迷期」が1980年代から90年代前半にかけて続きました。

【斬新だったウルトラマンティガ】


しかし、1996年放送の「ウルトラマンティガ」でウルトラマンの人気は復活します。
ウルトラマンティガの特徴は今までになかった斬新な姿。銀色ボディに青い筋をアクセントにしたティガは、体の色を変化させるタイプチェンジという概念を取り入れ、新世代のファンの心を鷲掴みにしました。さらに当時流行りとなっていたデジタル合成なども取り入れ、新時代の特撮作品として様々な挑戦を見せました。

【衝撃を与えたV6・長野博の出演】


そして、「ティガ」最大の魅力と言えたのが主人公にV6の長野博が起用されたことです。90年代半ば当時のジャニーズといえばSMAPが大ブレイクした頃であり、これを追って結成されたV6も熱い注目を浴びていました。トップアイドル候補生のメンバーがウルトラマンに変身する、その事実に特撮ファンは耳を疑ったものです。
なぜなら、当時の特撮番組といえばいわゆる"ジャリ番"。子どもたち以外にとっては比較的ネガティブな印象が強かったのです。

そんな風潮の中、ジャニーズの有望格が特撮番組に出演することは事件以外の何物でもありませんでした。しかも主題歌もV6が担当。彼らにとって黒歴史にならないのか? そんな声まで聞かれていました。
しかしそれは杞憂に終わります。「長野くんが出ているなら見る!」というファンの流れが勝ったのです。そして、地球の危機に颯爽とウルトラマンに変身し、怪獣を倒すダイゴ隊員=長野博の姿は新たな時代のヒーロー像として確立されたのです。

【無名の新人・つるの剛士を起用】


この「ウルトラマンティガ」の成功に勢いづいた円谷プロは翌97年、平成ウルトラマンシリーズ第2弾「ウルトラマンダイナ」を制作します。「ダイナ」の主人公、シン・アスカ役には前作とは打って変わって、無名の新人つるの剛士を起用します。
このキャスティングは冒険にも見えましたが、その心配は放送回を重ねるに連れ薄れていきました。
「ティガ」が重めなエピソードが結構あったのに対し、「ダイナ」は明るさが前面に出た作風でした。この雰囲気をつくりだしたのは、つるの剛士自身が持つ底抜けの明るさだったのです。

その効果があってか、平成ウルトラマンシリーズの中では最もおもちゃが売れた作品とも言われています。90年代後半といえば、バブル崩壊後の経済的に極めて苦しい時期だったわけですが、その中にあっておもちゃ市場の窮地を救ったのは、ウルトラマンダイナとつるの剛士と言えるのかも知れません。

長野博とつるの剛士。2人のその後の芸能界での活躍ぶりは御存知の通り。そのステップには、ウルトラマン人気復活の立役者としての歴史があったのです。
(足立謙二)