今年1月の芥川賞受賞作は、黒田夏子さんの早稲田文学新人賞受賞作「abさんご」(《早稲田文学》5号)だった。じつは芥川賞受賞作『abさんご』は短縮版、公募新人賞向けエディットヴァージョンだった。そしてこのたび、完全版、フルレングスヴァージョンが出た。『abさんごoriginal』として刊行されたもともとの『abさんご』は、9年かけて1993年に完成したという。20年近く発表されなかった。黒田さんが2010年に刊行した最初の単行