現代っ子は「和式トイレ」使えない?(画像はイメージ)

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春の入学シーズンももうすぐだが、小学校に入学した新1年生が最も戸惑う環境の1つが学校内の「和式トイレ」だという。今や家庭でも公共施設でもほとんどが「洋式トイレ」で、和式を目にする機会すら少ない。小学校に入学して初めて和式トイレを目にする子供は大半に上るとされており、子供たちや父母らにとっては深刻な問題となっている。

「入学前に和式トイレを使う練習をした方がいいと言われたが、練習する場もない」。ある母親は困惑した表情で話す。小学校に入って初めて和式トイレを使い、座る位置さえわからず、トイレを汚してしまう子供も多いという。

小学校全体の約6割が、和式が多いと回答

小林製薬が2014年7月、インターネット上で全国の母親と小学生412組を対象に行った「小学校のトイレ」に関するアンケート調査によると、「すべて和式」は17%、「和式が多い」は42%で、全体の約6割が、和式が多いと回答した。10年度の同様の調査では、「すべて和式」(26%)と「和式が多い」(52%)の合計は78%を占めており、年々改善しているとはいえるが、いまだに和式トイレが多い状況が大半を占めていることが分かる。

問題は、慣れていない和式トイレを前に、排便したがらない子供が多いことだ。学校のトイレで排便することへの抵抗感を聞いた調査では、洋式トイレが多い学校では「抵抗を感じる」(30%)、「やや抵抗を感じる」(20%)の合計は50%。これに対し、和式が多い学校では、「抵抗を感じる」(34%)、「やや抵抗を感じる」(27%)の合計は61%に上った。

排便したがらない理由では、「和式トイレを使うのが苦手」が44%と最も多く、子供たちが和式トイレに戸惑い、悩んでいる姿が浮かび上がった。排便を我慢すれば体調にも影響し、子供たちの健康への懸念も大きい。

校舎すべてを洋式に改修すればばく大な費用が必要

そもそも、一般家庭では今や9割超が洋式トイレを設置しているという。公共のホールやショッピングセンターでも洋式トイレは大半を占め、女性トイレで1〜2台設置してある和式トイレなど、大人でさえ誰も使わないのが現状だ。小学校に上がったばかりの子供たちが和式トイレに大きな負担をおぼえるのも無理はない。

では、なぜ小学校では和式が多くを占めるのか。最大の理由は予算問題だ。校舎すべてを洋式に改修すればばく大な費用が必要で、4階建ての校舎なら4000万〜5000万円程度かかるとの試算もある。東日本大震災後は校舎の耐震化工事が急速に進められており、国や自治体の財政状況が厳しい中、トイレの改修は後回しにされがちという事情もある。新1年生には厳しい現実だが、しばらくは試練と捉えるしかないのかもしれない。