妻夫木の涙に観客も涙…何度も言葉に詰まり感極まる
俳優の妻夫木聡が20日、TOHOシネマズ日劇で行われた映画『バンクーバーの朝日』初日舞台あいさつに登壇した。妻夫木は、本作に込めた思いを観客に伝えようとするも、こみ上げてくる思いに何度も言葉を詰まらせ、観客の涙を誘った。本舞台あいさつには、亀梨和也(KAT-TUN)、勝地涼、上地雄輔、池松壮亮、高畑充希、佐藤浩市、そして石井裕也監督も出席した。
これまでのイベントでも、スタッフやキャストが一丸になって作品に思いを込めたことを強調していた妻夫木。この日も「この映画で人生が変わったという人が出てくれれば」と思いを吐露すると、感極まって言葉に詰まる。何度も目をつぶり、涙をこらえながらも「朝日軍(日系移民を中心とした実在の野球チーム)のメンバーがそうだったように、目の前のことに逃げないでください。一生懸命な人って本当にかっこいいんです」と言葉を紡ぐと、会場のあちこちから妻夫木の懸命な姿にすすり泣く音が響いた。
作品に対する座長・妻夫木の真摯(しんし)な姿勢は、その他の朝日軍メンバーも感じていたようで、エースピッチャー・ロイ永西を演じた亀梨は「(妻夫木演じる)レジーと二人のシーンは印象的でした。妻夫木君の人柄、包み込んでくれるような包容力が、お芝居の中でも強く感じました」と絶賛。さらに「僕自身、こういった作品に参加させていただき誇りに思います。シンプルに生きることを感じていただければうれしいです」と語った。
また妻夫木は撮影中、中指にひびが入ってしまったことを明かすと「そのおかげで野球が上手くなることよりも、野球が好きなんだという気持が大事だということに気づけました」とアクシデントもプラスに変えてくれる現場を振り返った。
本作は、戦前のカナダに暮らす日系人たちが結成した実在の野球チーム「バンクーバー朝日」の奮闘を通して、当時の日系移民の立場や抱いた夢を描いた人間物語。石井監督は「朝日の人たちの夢中さを感じて、僕らも一生懸命映画を作らなくてはいけないんだなと思って作った作品です」と熱く観客に語り掛けていた。(磯部正和)
映画『バンクーバーの朝日』は全国東宝系にて公開中