ユーザー視点なきケータイ各社のiPhoneプラン 変更続きで買いやすくなるもユーザーは混乱へ

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9月9日(日本時間9月10日)に発表され、9月12日16時より予約が開始されたiPhone 6とiPhone 6 Plus。筆者の周辺でも、iPhone 6にするのか、より大画面なiPhone 6 Plusにするのかと話題になっている。9月19日の発売日までワクワクが続くだろう。

しかしながら、各ケータイキャリアはワクワクどころではないようだ。9月12日の予約開始時から、水面下ではiPhone 6(6 Plus)ユーザー獲得のバトルが開始されている。そのため、予約開始時より他社の状況を見ながら価格や条件が変更されている場合があるようだ。

「予約したときに案内された情報と違う」となりがちな条件変更をちょっとまとめてみよう。

●最も早く対応したが価格の発表が間に合わなかったNTTドコモ
新型iPhoneへの対策として最も早く動き出したのは、意外にもNTTドコモであった。iPhone 6(6 Plus)発表前の9月8日に、月間8Gバイトまで利用できる新しいデータ定額プラン「データLパック」を6,700円(税別)にて9月19日(実はiPhone 6、6 Plusの発売日だった!)に開始すると発表し、多くのモバイルデータ通信を利用するユーザーを囲い込む動きにでてきた。

しかしながら、9月12日16時の予約開始時にiPhoneの価格を発表できなかったのも同じNTTドコモである。同日、ゆいいつ価格のわからない状態で予約受付をする結果となってしまい、それが予約数の初動に影響があったのは想像に難くない。なお、価格を発表したのは三連休中の9月14日(日)であった。

ちなみに、NTTドコモは9月より機種購入時のサポート割引(月々サポート)を受ける条件として通話定額の新料金プラン用データ定額サービスである必要があるため、事実上旧プランのまま機種変更は非常に難しい状態となっている。

●安定した動きが見えるKDDI
続いてKDDIはどうだろう。実は今回のiPhone 6(6 Plus)ではもっとも安定した動きをしている。
NTTドコモが月額6,700円(税別)で8GB利用できる「データLパック」を発表したのを受けて、KDDIが提供している「データ定額8(8GB)」の料金を6,800円から6,700円(ともに税別)に改定した程度である。なお、厳密に言えばこれはiPhone対策ではなく、ドコモ対策と言えるわけだが。

9月12日の予約開始前には価格も発表し、キャンペーンも展開しているため、今回の騒動ではもっとも安定していると言えるだろう。また、長期利用者など(実際の提供条件は非公開)には機種変更時に利用できるクーポンを提供するなど、ユーザー流出対策を行っているほか、通話定額ではない従来プランでも割引が受けられるようになっている。
そのため、iPhone 6(6 Plus)に機種変更する際、わざわざ新料金プランへ変更する必要が無いのもポイントだ。

ちなみに、iPhone 5やiPhone 5s(5c)ユーザーがiPhone 6(6 Plus)へ機種変更する場合、旧モデルを下取りに出すことで割引が受けられるが、iPhone 5sよりも旧モデルのiPhone 5のほうが多くの割引を受けられるため、KDDIのiPhone 5ユーザーはチェックしてみよう。

●フットワークが軽いけれども混乱しやすいソフトバンクモバイル
今回のiPhone 6(6 Plus)騒動で最も動きがあったのがソフトバンクモバイルである。
9月12日の予約開始前に、iPhoneの価格を最も早く発表したのはソフトバンクモバイルであった。しかしながら、iPhone 6 Plus 128GBモデルの価格が10万円を超えてしまったことから、「支払可能見込調査」が必要となった。これは、高額な商品をローン(クレジット)で購入する際に、消費者の収入やクレジット利用実績などに応じた「支払可能見込額」を調査することがクレジット会社に義務付けられたもの。そのため、割賦審査が長引く可能性があった。

しかしながら、ソフトバンクモバイルは9月13日(土)に価格改定を行い、もっとも高額となるiPhone 6 Plus 128GBモデルであってもギリギリ10万円を超えない99,360円とした。
さらに、当初の価格発表時には通話定額の新料金プラン用データ定額サービスを契約しないとサポート割引(月月割)を受けられないとしたが、価格改定に伴い、従来プラン用データ定額サービス「パケットし放題 for 4G LTE」でもサポート割引対象としたため、ホワイトプランユーザーでも割引が受けられるように。結果として旧プランで割引を受けられない会社はNTTドコモのみとなった。

さらに、9月16日の発表では他社から乗り換え(MNP)かつ「スマ放題」を契約したユーザーに大幅な割引をする「のりかえ下取りプログラム」を発表した。

各社とも、チキンレースとも受け取れる価格設定やキャンペーン対策の他社対抗。
安くなる、契約しやすくなるのは歓迎なのだが、改定が続いてしまうと、店頭とウェブでの案内に差が出てきてしまい、ユーザーへの混乱を招く結果となるだろう。

各社が見ている先は、他社なのか、ユーザー数なのか、実際に利用するユーザーなのか、気になるところだが、ぜひともお得と思える価格、わかりやすいキャンペーンを充実させてほしいものだ。


布施 繁樹