後世に名を残したければ、漬け物日本一争奪戦「T-1グランプリ」に参戦すべし
漬け物の起源は有史以前にさかのぼる。中国では紀元前3世紀頃の辞書に、既に塩蔵品の存在を示す言葉が見られ、6世紀に出版された「世界最古の料理書」と言われる『斉民要術』には既が複数の漬け方が紹介されている。
国内でも8世紀の奈良時代の木簡には既に漬け物の記述がある。もっとも現在食卓に登る漬け物の技法がほぼ現在のような技法になったのは江戸時代だと言われているし、福神漬けなどは明治になってから生まれた漬け物だ。
古くから身近にあり、いまもって新しいレシピが開発され続ける漬け物──。その日本一を決めるグランプリ大会が「T-1グランプリ」だ。T-1の「T」はもちろんTSUKEMONO───漬けものの「T」。2010年から開催されている、他に類を見ない「お漬けもの日本一決定戦」だ。
今年2月に開催された第4回大会には、全国のブロック大会を勝ち残った漬け物の精鋭が集った。北海道から九州・沖縄ブロックまで、全6ブロックから「個人の部」は各ブロック1名という狭き門を突破した全6名、「法人の部」は各3社がエントリーし全18社がグランプリを競う形で開催された。
昨年に引き続き、今年はT-1グランプリと同時に「Taku-1グランプリ」も開催された。言うまでもないが、「Taku-1」は「タクワン」と読む。「日本一の沢庵」を決める決定戦だ。
今年の開催会場は池袋サンシャインシティ。7000人を超える来場者の熱気漂うなか、発表された今年のT-1グランプリは、次のような結果となった。
個人の部 「生姜のべっこう漬け」(熊本県芦北町・尾崎吉秀さん)
法人の部 「まぜちゃい菜(日野菜)」(滋賀県大津市・丸長食品)
Taku-1グランプリ 「大根と柚子の雷漬け」(東京都世田谷区・征矢野和広さん)
このうち、「生姜のべっこう漬け」と「まぜちゃい菜(日野菜)」を試食することができた。「生姜のべっこう漬け」はほの甘い味噌床の奥から鮮烈な生姜の味わいが抜けてくる。「まぜちゃい菜(日野菜)」は滋賀の地野菜である「日野菜」の葉と根に、きゅうり、青唐辛子、青じそ、青トマトを醤油で漬け込んだ、ピリリと締まった味わいだ。どちらもべらぼうに「ごはん」に合う。おにぎりにもいいし、「生姜〜」の方はいなり寿司やちらし寿司の具にしてもいい。「まぜちゃい菜(日野菜)」はチャーハンや麺類のトッピングにもなりそうだ。
未食だが、干した大根とにんじんを柚子の果汁を使った甘酸っぱい醤油ベースの漬け汁に漬け込んだ「大根と柚子の雷漬け」は酒のつまみにはもってこいだろう。
実はT-1グランプリの受賞漬け物には市販への道筋がある。法人の部でグランプリを受賞した「まぜちゃい菜(日野菜)」が丸長の公式サイトで購入できるのはもちろん、個人の部の「生姜のべっこう漬け」は複数の漬け物メーカーによる争奪戦に。Taku-1の「大根と柚子の雷漬け」も夏をメドに会員制食品宅配サービスの「らでぃっしゅぼーや」から商品化される予定となっている。後世に残る名漬け物を考案すれば、漬け物とともに後世に名を残すことだってできるかもしれない。
T-1グランプリも、過去の受賞作品の詰め合わせを「T-1グランプリお漬物定期便」として2か月に一度宅配するサービスをスタートした。来週4月15日(火)までに申し込めば、今年のグランプリ作品の「まぜちゃい菜(日野菜)」も同梱されるという。
「敵を知り己を知れば百戦危うからず」という言葉もある(編注:敵ではありません)。単に漬け物を食べたいだけの者はもちろん、いつの日かグランプリに挑もうとする者もいまから手をつけてソンはない。ちなみに次回、第5回大会のレシピ募集がスタートするのは、8月頃だという(エントリーは公式サイトか応募用紙にて)。
日本一の座は、法人の部は750名、個人の部は100名の一般審査員と特別審査員による試食投票で決定される。当然ながら一夜漬けが通用するほど、漬け物日本一争奪戦は甘くない。
(松浦達也)
国内でも8世紀の奈良時代の木簡には既に漬け物の記述がある。もっとも現在食卓に登る漬け物の技法がほぼ現在のような技法になったのは江戸時代だと言われているし、福神漬けなどは明治になってから生まれた漬け物だ。
今年2月に開催された第4回大会には、全国のブロック大会を勝ち残った漬け物の精鋭が集った。北海道から九州・沖縄ブロックまで、全6ブロックから「個人の部」は各ブロック1名という狭き門を突破した全6名、「法人の部」は各3社がエントリーし全18社がグランプリを競う形で開催された。
昨年に引き続き、今年はT-1グランプリと同時に「Taku-1グランプリ」も開催された。言うまでもないが、「Taku-1」は「タクワン」と読む。「日本一の沢庵」を決める決定戦だ。
今年の開催会場は池袋サンシャインシティ。7000人を超える来場者の熱気漂うなか、発表された今年のT-1グランプリは、次のような結果となった。
個人の部 「生姜のべっこう漬け」(熊本県芦北町・尾崎吉秀さん)
法人の部 「まぜちゃい菜(日野菜)」(滋賀県大津市・丸長食品)
Taku-1グランプリ 「大根と柚子の雷漬け」(東京都世田谷区・征矢野和広さん)
このうち、「生姜のべっこう漬け」と「まぜちゃい菜(日野菜)」を試食することができた。「生姜のべっこう漬け」はほの甘い味噌床の奥から鮮烈な生姜の味わいが抜けてくる。「まぜちゃい菜(日野菜)」は滋賀の地野菜である「日野菜」の葉と根に、きゅうり、青唐辛子、青じそ、青トマトを醤油で漬け込んだ、ピリリと締まった味わいだ。どちらもべらぼうに「ごはん」に合う。おにぎりにもいいし、「生姜〜」の方はいなり寿司やちらし寿司の具にしてもいい。「まぜちゃい菜(日野菜)」はチャーハンや麺類のトッピングにもなりそうだ。
未食だが、干した大根とにんじんを柚子の果汁を使った甘酸っぱい醤油ベースの漬け汁に漬け込んだ「大根と柚子の雷漬け」は酒のつまみにはもってこいだろう。
実はT-1グランプリの受賞漬け物には市販への道筋がある。法人の部でグランプリを受賞した「まぜちゃい菜(日野菜)」が丸長の公式サイトで購入できるのはもちろん、個人の部の「生姜のべっこう漬け」は複数の漬け物メーカーによる争奪戦に。Taku-1の「大根と柚子の雷漬け」も夏をメドに会員制食品宅配サービスの「らでぃっしゅぼーや」から商品化される予定となっている。後世に残る名漬け物を考案すれば、漬け物とともに後世に名を残すことだってできるかもしれない。
T-1グランプリも、過去の受賞作品の詰め合わせを「T-1グランプリお漬物定期便」として2か月に一度宅配するサービスをスタートした。来週4月15日(火)までに申し込めば、今年のグランプリ作品の「まぜちゃい菜(日野菜)」も同梱されるという。
「敵を知り己を知れば百戦危うからず」という言葉もある(編注:敵ではありません)。単に漬け物を食べたいだけの者はもちろん、いつの日かグランプリに挑もうとする者もいまから手をつけてソンはない。ちなみに次回、第5回大会のレシピ募集がスタートするのは、8月頃だという(エントリーは公式サイトか応募用紙にて)。
日本一の座は、法人の部は750名、個人の部は100名の一般審査員と特別審査員による試食投票で決定される。当然ながら一夜漬けが通用するほど、漬け物日本一争奪戦は甘くない。
(松浦達也)