勝負強さ見せた修徳が、終盤に得点して競り勝つ

修徳・桜井君

 昨夏の東東京代表校の修徳と、一昨年の東東京大会準優勝校の国士舘(昨年からは編成替えで西東京となった)という実力校同士の対戦。それだけに、引き締まった試合を期待していた。

 その期待にたがわぬ投手戦という展開になった。修徳は171?70kgという左腕の桜井 政利君、国士舘は184?の長身四戸 洋明(しのへ)君が先発した。

 桜井君は球速にすれば130キロそこそこだというが、馬力もありそうで計時以上にスピードが感じられるのではないだろうか。ボールの回転がよく、球の伸びもあるのだろう。四戸君は最速140キロもマークしたことがあるという速球派だが、コントロールも悪くない。そんな二人だから、あまり点は入りそうにはなかった。

 先制したのは修徳で4回、3番岡本君が左越二塁打すると、酒井君のバントが安打となり一三塁。一死後、桜井君が右線へ二塁打して自身のバットで二者を帰した。しかし、その裏、国士舘もすぐに追いついたのはさすがだった。

 この回の国士舘は、失策絡みで二死二塁とすると、6番新居君が一、二塁間を破ってつないで、続く末吉君が三塁線を破り2者を迎え入れて追いついた。さらに、杉岡君も左前打で続いて一三塁としたのだが、二塁盗塁失敗で結局2点止まり。国士舘の箕野豪監督は、「本当に流れを呼び込むには、あそこで同点止まりではダメなんです」という思いで、持ち前の機動力を生かして攻めて行ったのだが、畳みかけられなかったことを悔いた。

マウンドに集まる国士舘ナイン

 結局、2対2のまま進んだ試合は、6回表が終了した段階で雨も降りだし、空も曇り雷も鳴りだしたところで試合は18分中断された。

 この中断で切り替えて流れを掴んだのは修徳の方だった。修徳の阿保暢彦監督は、「2点を取ってからは、ボールを見るようになっちゃって、振れなくなって、ちょっと悪い流れになりかけていたので、丁度中断したところで一括したんですよ。それで切り替えが出来て、8回の攻撃につながったかなと思います。そういう意味ではいい中断だったかもしれません」と、やや流れが膠着しかかったところで切り替えられたことを挙げた。

 その8回の攻撃は、1番からの攻撃となったが、高嶋君が中前打するとバントですぐに二塁へ進める。四球後、4番酒井君が中前へはじき返して二走がホームイン。これが決勝点となった。

「こういう勝ち方が出来てくれば、去年の実績が自信になっていくと思うんです」と、阿保監督は、昨夏は甲子園から帰ってきて、秋季本大会には出場したものの、やや不本意な負け方をしてチームとしては自信を失いかかってきていたところもあったので、これがいい形で勢いづけになっていると感じているようだ。

 国士舘の箕野豪監督は試合後、「情けないとしか言いようがないですよ、見逃しの三振が多すぎます」と、嘆いていた。「投手はよく投げたと思います、出来としては悪くなかったのに、こういう試合しか出来なかったというのは野手の責任ですね」と、相手打線を6安打に抑えた四戸君に対しては合格点を与えつつも、攻撃陣には厳しかった。また、持ち味の機動力を展開していくに至らなかったことも、消化不良となったようだ。

(文=手束 仁)