日大鶴ヶ丘vs都立広尾 日大鶴ケ丘、広尾譲らず延長15回引き分け再試合
延長15回を投げ抜いた舛田（都立広尾）
伝統校・日大鶴ヶ丘に、近年力をつけてきている都立の都立広尾高校がどこまで対抗できるかが注目されたこの試合は、両チーム一歩も譲らぬ好ゲームになり、延長15回で引き分け。7日に府中市民球場で再試合が行われることになった。
試合は1回表、日大鶴ヶ丘の1番栗田優一が打った一塁手の横を痛烈に破る打球は、フェンスまで達する三塁打となり、続く西ヶ谷篤も右前安打を打ち、あっさり1点。日大鶴ヶ丘ペースで試合が進むかと思われたが、ここから都立広尾の舛田峻が踏ん張り、逆に都立広尾がチャンスをつかむことになる。
都立広尾は、序盤こそ日大鶴ヶ丘の先発、背番号7の山岸の地肩が強そうな力のある球に手こずったが、4回に先頭の4番小林拓海が中前安打で出塁すると、続く須藤友樹が犠打の後、西澤伶弥の中前安打で一死一、三塁。続く７番打者ながら打撃がいい舛田に対し、1球ボールを投げたところで背番号１の秋山翔にスイッチ。その代わった直後の初球を叩くと二塁打になり、同点に追いついた。
さらに一死二、三塁という都立広尾のチャンスが続いたが、続く小川大雅への初球、スクイズを敢行するも秋山へのフライとなり、飛び出していた三塁走者が刺され、併殺となった。
もう一つ都立広尾にとって惜しかったのは、7回裏先頭の6番西澤が三塁打で出塁した場面。「続く舛田は7番打者ですが、長打力がある」と都立広尾の梨本浩司監督は語る。しかしながら舛田は三振に倒れ、小川は四球で出塁したが、続く長江正樹は三振。さらには一塁走者小川も盗塁失敗で刺され、チャンスを失った。
試合終了の挨拶をする両校の選手たち
こうなると、日大鶴ヶ丘の秋山と都立広尾の舛田のがまんのし合い。秋山は交代直後こそピンチを招いたが、その後が左腕からテンポよく緩急を使い分け、都立広尾打線に付け入るスキを与えない。一方の舛田も、179センチ68キロというひょろとした体型から、キレのいいストレートに、スライダー、スピリットなどを投げ分けた。
「高2まではあんなスケールの投手ではなかった。春から140キロが出るようになった」と都立広尾の梨本監督は語る。舛田本人も「ずっと走り込みはしてきた」と語る。それに派手さはないが、都立広尾の堅実な守備も舛田を助けた。7回の二死二、三塁の場面では、少しバウンドが変わった打球を二塁手長江が落ち着いて処理。13回にも長江は、二死一、二塁の場面で、外野との中間地点に飛んだ打球を背走して好捕。15回表の二死満塁の場面で、都立広尾の一塁手小林が難しいファウルフライを好捕し、都立広尾のこの日の負けはなくなった。
15回裏秋山は都立広尾を2者連続三振と中飛に抑え、両チーム死力を尽くした戦いは、１−１の引き分けに終わった。15回を戦った割に、試合時間は2時間46分と比較的短く、テンポのいい好ゲームだった。
ただ、選手層が薄い都立広尾としては、勝っておきたい試合だったことは確かだ。4回途中から登板した秋山の投球数は130。15回を完投した舛田は216球を投げた。舛田は、「肩は疲れたけれども、再試合はいけたら、途中からでもいきたい」とは言うものの、今の時期、無理はさせられない。
「あさって（再試合）は困りましたね。もう1回対策を練ります」と都立広尾の梨本監督は困惑気味だ。現状では、都立広尾打線の奮起が鍵となるだろう。それでも今年は、都立小山台の伊藤 優輔、都立雪谷の鈴木 優など都立の好投手が多いが、舛田も、新星としてその隊列に加わったことは間違いない
（文＝大島裕史）
