修徳が延長11回を制し、桐朋を破る! 

桜井(修徳)

 昨夏甲子園出場の修徳が桐朋に苦戦の末、辛勝した。先制したのは修徳。桐朋の好投手・太田 力から二死満塁のチャンスを作り、6番森の右中間を破る三塁打で一気に3点を先制する。しかしその裏、桐朋は6番佐藤の適時打で2点を返し、3対2と1回から動く試合展開になる。2回表にも修徳は田中の適時打で4対2となり、試合はいったん落ち着く。

 桐朋の先発・太田は昨年からレベルアップしている。2010年選抜に出場した向陽の藤田 達也投手をイメージしていただけると良いかもしれない。開きが小さく、テークバックをコンパクトに捕りながら、左足にぐっと体重が乗って、鋭く腕が振れる実戦的な投球フォーム。常時130キロ〜134キロを計測し、昨年よりも速くなっている。

 変化球は120キロ前後のカットボール、縦スライダー、110キロ前後のカーブを投げ分ける配球で、投球を組み立てる。ただ立ち上りは彼にしては珍しく投げ急ぎが目立ち、自分の間合いで投げることができなかった。3回以降、6回に出た適時打。これも綺麗なヒットではなく、詰まらせてのモノで、内容は決して悪くなかった。

 修徳の先発・上島 迅翔(3年)は186センチ85キロの恵まれた体格をした右腕。球速は常時120キロ後半(最速130キロ)の直球、スライダー、カーブをテンポ良く投げ分ける投球。だが桐朋はしっかりとタイミングを合わせており、上島から7回まで8安打を打ち、4点を入れて5対4の1点差に迫る。

 

太田力(桐朋)

 修徳の阿保監督は「リードさせられる試合展開にしたくはなかったので。負けたら先はない」8回から左腕・桜井 政利を投入。だが桜井も内野ゴロの間に1点を失い、同点を許す。だが後続をしっかりと締めて、勝ち越しを許さず、試合は延長戦へ。

 延長になってからも太田の速球の勢いは衰えることはなかった。むしろ立ち上りよりも走っているように見えた。延長になってからも130キロ台を計測しており、この冬でしっかりとパワーアップを遂げてきたのが伺える内容だった。

ここで修徳は太田を打ち崩すためにある対策を立てた。阿保監督は説明する。「もう速球はすべて捨てていい。とにかく変化球を狙いなさい」延長になっても球威が落ちないストレートより、緩い変化球を狙いに絞った方が点を取れる確率が高いとにらんでいたのだろう。修徳は二死三塁のチャンスを作り、2番田中の勝ち越し適時打を放つ。

 田中は、「ただ変化球を狙うだけではなく、自分の間合いで打てるように工夫をしました」球種を絞るだけではなく、自分の間合いで打つ。この意識の徹底が数々の好投手を打ち砕く打撃を築き上げてきたのだろう。

その裏、桜井が締めて、修徳が3回戦進出を果たした。

 修徳は昨年からメンバーが入れ替わったとはいえ、やはり打力が高い選手が多い。一発長打ではなく、しっかりとした打球を打てる選手が多く、太田の変化球に狙いを絞ったように変化球を打てる技術もある。次は投手力のある国士舘と対戦するが、この試合のように打ち合いに持ちこみ、勝利をモノにしたい。

(文=河嶋 宗一)