安田学園vs都立大泉 安田学園序盤で立て続けにビッグイニング作って大勝
嶋田 篤(安田学園)
昨夜来の雨が朝まで残って、グラウンドはいくらか重い状態だった。試合前のシートノックもなく、サイドノックのみで、予定より1時間15分遅れでプレーボールとなった。この試合は昨日雨で流れた試合である。
球場や開始時間が変更になることで、コンディションも微妙に違ってくるということもあるのかもしれないが、安田学園が序盤に大量得点を挙げて試合を決めた。
昨年春に、悲願の甲子園初出場を果たしている安田学園。しかし、今年は昨秋にブロック予選で早々に敗退してしまい、この春はブロック予選からの出場となった。甲子園帰りのシード校として3回戦から出場して受けて立っていた昨年とは、立場はまったく違っていた。それでも、さすがに甲子園経験チームらしく、攻守にきちっとしたまとまりのあるところを示していた。
先発した嶋田 篤君は、元々は三塁手だったものが入学後に投手となり、1年秋には制球の良さを示して何試合かを投げ切り、甲子園出場にも貢献していた投手だ。
ただ、この日は2ストライクに追い込んでから、不用意に四球を与えてしまうというケースが何回か見られた。投手らしくなってきたことで却って、フォームを意識し過ぎたことの影響もあるのではないかと森泉弘監督は分析していた。それでも、5回を1安打3四球に抑えて完封したのはさすがだ。
嶋田君は4回までは無安打に抑えていたのだが、5回に新宅君に安打された。もっとも、大量リードもあり投球そのものには余裕があった。
「バッティングそのものでいえば、去年のチームよりも打つと思います。ただ、私の目指す野球としては、しっかり守って足を使って攻めていくという形なのですが、そういう意味ではバントミスなどもありましたし、課題も多いです」と森泉監督は言うが、それでも初回は送りバント失敗がありながらも四球と相手の失策絡みで二死二三塁とすると、5番羽子田君が三塁線を破る二塁打で2点を先取。さらに死球後に7番今村君が右翼へ豪快に3ランを放ってこの回5点。
西君をリリーフした左腕有吉君(都立大泉)
2回にも安田学園は嶋田 篤君の左中間二塁打に始まって無死一三塁から、2番土橋君は今度はきっちりとセーフティスクイズを決めるとこれが内野安打になった。さらに、江口君左前打の後、死球押し出しや今村君の会心の左前打などでこの回も4点。今村君は7番ながら、ここまでで早くも5打点である。
3回にも安田学園は4番中村君のタイムリーでさらに1点を追加して10点差とした。
ここまで畳みかけられると、さすがに大泉としてもなすすべがなかった。増子良太監督としても、手の施しようがないといった状態だったであろう。5回、振り逃げと新宅君の安打で一死一二塁としたものの、後続が連続三振。最後まで嶋田君を攻略しきれなかった。
そんな中で、3回途中から西君をリリーフした左腕有吉君が打者7人に対してながら無安打無失点に抑えていたのは唯一の収穫だったのではないだろうか。(文=手束 仁)