本物の力士は「どすこい」とは言わない。びっくりトリビア満載『大相撲あるある』
綱取りのかかった大事な場所で、いきなり初日につまづいた稀勢の里。
その瞬間、国技館の観客席はもとより、「どぶ」からも溜め息が漏れたとか。
あ、「どぶ」というのは大相撲隠語で「記者席」のこと。席に備えられた取材用の机が、足を入れられるように掘り下げられているため、その部分を「どぶ」に見立てたと言われています……という知識まで仕入れることができるのが今回紹介する書籍『大相撲あるある』。
数多ある「“あるある”本」の中でも人気のジャンルは野球やサッカーはじめとしたスポーツもの。
それって、ファン心理やスポーツニュースネタ、応援に関しての“あるある”をまとめた「ファン目線の“あるある”」がほとんどだ。
その中においてこの本が画期的なのが、力士目線の“あるある”で埋め尽くされているところ。
たとえば、【大相撲あるある107:足裏のひび割れはアロンアルファで補修。】と言われても、「そーなの!?」と疑問形が浮かんでしまう。うん、ある意味、全然“あるある”じゃない! こんな“あるある”が140個重ねられていく。
著者は『相撲』『大相撲ジャーナル』などの専門誌に寄稿している相撲ライターの荒井太郎が文章を、元力士にして日本大相撲協会公認漫画家として活躍する琴剣淳弥がイラストを担当。この二人だからこそ成し得た荒技と言っていい。
そして、力士目線だからこそ、「力士」「大相撲」という単語から連想される固定イメージや共通認識のどれが正しくて、間違っていたのかが明らかにされていく。
たとえば、かつて「寺尾のどすこい大相撲」なるゲームが発売されたように、相撲といえば「どすこい」、「どすこい」といえば力士を連想するが、これが全くの誤解であるという。
【大相撲あるある124:実は、力士は「どすこい」とは言わない。】
相撲甚句のなかでかけ声として使うだけで、稽古中はもちろん日常会話でも使わないという。
え? じゃあ、つの丸先生も相撲漫画のタイトルにつけていた「ごっちゃんです」も言わない? と思えばこちらは立派な力士用語。でも、日常会話では省略形を使うことがほとんど。
【大相撲あるある123:「ごっちゃんです」の省略は「シー」、「お疲れさんございます」は「スー」。】
相撲中継を見ていると、審判の親方が座る前をなんだか口をごにょごにょさせながら土俵だまりに座る力士がいる。あれ、「スー」や「シー」と言っているんだとか。
さて、力士、といえばその巨体から連想する、まさに“あるある”な疑問がある。
【大相撲あるある122:永遠に繰り返される「お相撲さんは自分でお尻が拭けるんですか?」という質問。】
これ、やっぱり力士の皆さんも何度も何度も質問されて正直うんざりしているんだとか。正解は体が柔らかいから問題なく「拭けます」とのこと。
その一方で、巨体ゆえの悲哀に満ちた“あるある”はやっぱり存在する。
【大相撲あるある120:力士のデートコースには映画館はない。】
なぜなら、映画館の椅子には絶対に座れないから。
【大相撲あるある115:なかなかタクシーが停まってくれない。】
だって、力士を乗せるとサスペンションを損傷しかねないから。
力士目線の“あるある”が多いとは言いつつ、ファン目線の“あるある”もしっかり描かれている。
【大相撲あるある003:職場や学校で、相撲好きだとカミングアウトできない。】
【大相撲あるある004:小学1年生ですでに「麒麟」と書けた。】
など、むしろ古参ファンが喜びそうなネタが充実。また、力士サイドの“あるある”の中にも、
【大相撲あるある112:無礼講と言われ親方のモノマネをしたが、度が過ぎて激怒される新弟子。】
【大相撲あるある113:関取の前では敢えて下手に歌う若い衆。】
のように、サラリーマンにも通じる悲哀に満ちた縦社会の掟も記されている。
この本、もうひとつ特徴的なのは文字がとても大きいこと。
さすはが相撲ファンのコアターゲットである高齢者への嬉しい気配り。相撲好きのお爺ちゃん、お婆ちゃんへのプレゼントとしても使えます。
【大相撲あるある121:老人ホームに行くと、お爺ちゃんやお婆ちゃんに拝まれる。】は伊達じゃありません。
まだまだ続く初場所観戦のお供に『大相撲あるある』、オススメします。
(オグマナオト)
その瞬間、国技館の観客席はもとより、「どぶ」からも溜め息が漏れたとか。
あ、「どぶ」というのは大相撲隠語で「記者席」のこと。席に備えられた取材用の机が、足を入れられるように掘り下げられているため、その部分を「どぶ」に見立てたと言われています……という知識まで仕入れることができるのが今回紹介する書籍『大相撲あるある』。
それって、ファン心理やスポーツニュースネタ、応援に関しての“あるある”をまとめた「ファン目線の“あるある”」がほとんどだ。
その中においてこの本が画期的なのが、力士目線の“あるある”で埋め尽くされているところ。
たとえば、【大相撲あるある107:足裏のひび割れはアロンアルファで補修。】と言われても、「そーなの!?」と疑問形が浮かんでしまう。うん、ある意味、全然“あるある”じゃない! こんな“あるある”が140個重ねられていく。
著者は『相撲』『大相撲ジャーナル』などの専門誌に寄稿している相撲ライターの荒井太郎が文章を、元力士にして日本大相撲協会公認漫画家として活躍する琴剣淳弥がイラストを担当。この二人だからこそ成し得た荒技と言っていい。
そして、力士目線だからこそ、「力士」「大相撲」という単語から連想される固定イメージや共通認識のどれが正しくて、間違っていたのかが明らかにされていく。
たとえば、かつて「寺尾のどすこい大相撲」なるゲームが発売されたように、相撲といえば「どすこい」、「どすこい」といえば力士を連想するが、これが全くの誤解であるという。
【大相撲あるある124:実は、力士は「どすこい」とは言わない。】
相撲甚句のなかでかけ声として使うだけで、稽古中はもちろん日常会話でも使わないという。
え? じゃあ、つの丸先生も相撲漫画のタイトルにつけていた「ごっちゃんです」も言わない? と思えばこちらは立派な力士用語。でも、日常会話では省略形を使うことがほとんど。
【大相撲あるある123:「ごっちゃんです」の省略は「シー」、「お疲れさんございます」は「スー」。】
相撲中継を見ていると、審判の親方が座る前をなんだか口をごにょごにょさせながら土俵だまりに座る力士がいる。あれ、「スー」や「シー」と言っているんだとか。
さて、力士、といえばその巨体から連想する、まさに“あるある”な疑問がある。
【大相撲あるある122:永遠に繰り返される「お相撲さんは自分でお尻が拭けるんですか?」という質問。】
これ、やっぱり力士の皆さんも何度も何度も質問されて正直うんざりしているんだとか。正解は体が柔らかいから問題なく「拭けます」とのこと。
その一方で、巨体ゆえの悲哀に満ちた“あるある”はやっぱり存在する。
【大相撲あるある120:力士のデートコースには映画館はない。】
なぜなら、映画館の椅子には絶対に座れないから。
【大相撲あるある115:なかなかタクシーが停まってくれない。】
だって、力士を乗せるとサスペンションを損傷しかねないから。
力士目線の“あるある”が多いとは言いつつ、ファン目線の“あるある”もしっかり描かれている。
【大相撲あるある003:職場や学校で、相撲好きだとカミングアウトできない。】
【大相撲あるある004:小学1年生ですでに「麒麟」と書けた。】
など、むしろ古参ファンが喜びそうなネタが充実。また、力士サイドの“あるある”の中にも、
【大相撲あるある112:無礼講と言われ親方のモノマネをしたが、度が過ぎて激怒される新弟子。】
【大相撲あるある113:関取の前では敢えて下手に歌う若い衆。】
のように、サラリーマンにも通じる悲哀に満ちた縦社会の掟も記されている。
この本、もうひとつ特徴的なのは文字がとても大きいこと。
さすはが相撲ファンのコアターゲットである高齢者への嬉しい気配り。相撲好きのお爺ちゃん、お婆ちゃんへのプレゼントとしても使えます。
【大相撲あるある121:老人ホームに行くと、お爺ちゃんやお婆ちゃんに拝まれる。】は伊達じゃありません。
まだまだ続く初場所観戦のお供に『大相撲あるある』、オススメします。
(オグマナオト)