香川真司が所属するマンチェスター・ユナイテッドが優勝した。優勝を決めた試合では香川も先発。ロビン・ファン・ペルシーのハットトリックで見事栄冠を勝ち取った。

完全なる主力として連覇に貢献したドルトムント時代と比べれば、今回の優勝は香川にとって両手を挙げて喜べるものではなかっただろうね。それは優勝決定後の香川自身の言葉にもよく表れている。優勝したことは素晴らしいけど、彼自身壁を感じ、決して満足いく成績を残せなかったと語っている。ケガもあったが、18試合出場5得点では、確かにいつまでこのチームにいられるか分からない。自己反省がしっかりできているようだから、来シーズン以降でのさらなる躍進に期待して見守りたいね。

さて、その香川の古巣であるドルトムントは、チャンピオンズリーグの準決勝ファーストレグで、レアル・マドリーを4─1で下した。一方で、バイエルン・ミュンヘンは最強と呼ばれて久しいバルセロナを4─0で破った。この結果は非常に衝撃的で、試合のニュースは世界中を駆け巡った。

この結果を受けて、スペインとドイツの立場が入れ替わった、新時代が到来した、との言説も目立つ。確かにドルトムントとバイエルンの戦いぶりは素晴らしかったけど、僕はこの結果がヨーロッパの勢力図の変化の証明であるとは思っていない。

ドイツの2チームにはどちらもホームの利が存分にあったし、単純にメッシのコンディションの悪さも目立った。サッカーはそう簡単に分かりやすいストーリーに当てはめられるものではないし、レアル・マドリーにもバルセロナにも、セカンドレグで4点決める力はあるだろう。まだ分からないよ。

それにしても、ドルトムントのレバンドフスキは大した役者だね。彼は正真正銘のエースだ。香川はドルトムントの優勝に貢献したが、チームの中でのナンバーワンはレバンドフスキだった。それを改めて証明する活躍だったんじゃないかな。

来シーズンはバイエルンに移籍する、などという話も出ているようだ。そうなったら、ドルトムントのサッカーもまた変化していくだろう。国のスタイル単位で潮流が動くというよりは、現代サッカーはクラブ単位という気がするよ。