３月26日のヨルダン戦は、本田と長友を欠いた布陣で臨むことになった。ザック率いる日本代表のメンバーが、３月14日に発表されている。

　ザックは「サプライズはない」と話したが、これにはふたつの意味がある。戦線離脱中の本田と長友の招集外と、駒野や中村憲ら経験豊富な選手の復帰である。
　
　昨年10月のブラジル戦から、ザックは本田のＦＷ起用をテストしてきた。同時に、２月のラトビア戦の前半には、岡崎を１トップでテストした。どちらも新たなオプションとしての可能性が探られたものの、ピッチ上で明確な答えを得るには至っていない。
　
　本田を欠く今回は、すでに方向性がはっきりしている。前田を１トップに置いた４−２−３−１になるはずだ。
　
　前田が１トップに入ったラトビア戦の後半は、彼と２列目のコンビネーションからゴールが生まれている。前田、香川、岡崎が絡んだ３点目は、ヨルダン戦への模範解答と言っていい連携だった。前田が攻撃に深さを作りつつ、ときに中盤へ落ちてきた背後へ岡崎が走り込む関係性は、このチームの強みである。

　では、本田不在のトップ下には誰が指名されるのか。これまでの選手起用から判断すれば、香川を左サイドからスライドさせるか、中村憲を当てはめるか、の二者択一が有力だ。

「トップ下を誰にするのかは、左右の２枚をどうするかが大きく影響する」とザックは切り出し、「両サイドにはＭＦというよりＦＷに近い攻撃的な選手を置いている」と付け加えている。

　ラトビア戦では本田と乾が交代し、右から岡崎、香川、乾という２列目の並びがテストされた。右から大津、香川、乾の並びも試されている。

　乾と大津は今回も招集されているが、香川、岡崎、清武、中村憲のなかから３人を組み合わせるのが現実的だ。香川がトップ下へ入る、岡崎が左サイドへスライドするといった変更は可能だが、公式戦はできるだけ少ない変更に止めるのがこれまでのパターンである。
　
　勝てば予選突破が決まるヨルダン戦の重要度も考えると、右から岡崎、中村憲、香川でスタートするのが濃厚だ。４年前の最終予選も経験している中村憲をトップ下に指名し、清武、乾、大津らは交代のカードとするのが、３月26日に見合ったものだ。今回の23人から浮かび上がるのは、継続性を重視したメンバーによる総力戦とのメッセージである。