２月６日のラトビア戦へ向けて、海外組18人に招集の可能性を示すレターが送付された。

　昨年11月のオマーン戦には、国内から今野、遠藤、前田、駒野、栗原、伊野波、中村憲、高橋の８人が招集されている。ザックが18人全員を呼び寄せると、フィールドプレーヤーだけで26人になってしまう。

　たった１試合のために、しかも拘束期間の短いフレンドリーマッチで、こんなにも多くの選手を招集するとは考えにくい。海外組はある程度まで絞り込まれるはずだ。

　話題の中心にいるのは大津だろうか。所属するＶＶＶフェンロで、このところ先発出場を増やしている。招集のタイミングとしては悪くない。

　気になるのは、大津をどこで使うのか。本田、香川、岡崎、清武らが競う２列目は、順番待ちの列が長い。その一方で、１トップにザックを納得させる選手が少ない。昨年下半期は、前田と本田で乗り切った。ハーフナー・マイクがベンチに控えていても、本田が最前線に収まる場面もあった。

　２０１３年に入っても、状況は好転していない。李忠成はサウサンプトンで出場機会を得られず、ハーフナーも定位置獲得に至っていない。ＵＡＥのアル・ナスルへ期限付き移籍した森本も、新天地で結果を残すことで信頼回復をはかる段階にある。

　そうした状況を踏まえると、ザックは１トップとしての大津に期待を寄せているのではないだろうか。ロンドン五輪で彼が担った役割を、イメージしていると思う。２列目の候補として行列に並ばせるより、１トップでの起用を模索したほうが効率的だ。

　所属クラブでゲームに絡めていない李忠成には、Ｊリーグのクラブが関心を示しているとの報道がある。しかし彼自身は、欧州でのプレーにこだわっているようだ。
気持ちは分かる。ヨーロッパというマーケットにとどまることで、新たな可能性が開けることがあるからだ。

　ただ、現状打破へ動き出すべきなのも間違いない。欧州でのプレーが譲れないのであれば、他クラブへのレンタルなどを考えていくべきだろう。移籍マーケットが閉まる１月末までに、何らかの動きがあることを、ザックも望んでいるのではないだろうか。　

　ラトビア戦はフレンドリーマッチなので、海外組は直前の合流となる。全員揃っての練習は、おそらく前日だけだ。ヨーロッパから戻ってくる選手たちには、ひどく慌ただしいスケジュールになる。
　
　それでもザックが海外組の招集に踏み切るのは、３月26日のヨルダン戦へ向けた意気込みの表れだ。指揮官が教訓としているのは、昨年２月に行なわれたワールドカップ３次予選のウズベキスタン戦である。
　
　海外組にとっては12年最初の国際試合で、直前の合流も重なってフィット感を欠いた。その結果、ホームで０対１の苦杯をなめたのだった。
　
　ヨルダン戦の直前には、同じ中東のドーハでカナダとのテストマッチが組まれている。その前にラトビア戦で代表の戦い方を呼び覚まし、３月につなげるのが指揮官の構想だ。そして、チェック項目の最上位には、１トップのテストがある。