自宅に届いたファックスを、じっくりと読み込んだ。大宮アルディージャが、募金活動をするというニュースリリースである。

　Ｆリーグのデウソン神戸でプレーする鈴村拓也選手が、12月９日に「上喉頭癌」であることを公表した。このニュースを受けて、募金活動を実施するというのだ。天皇杯４回戦が行なわれた12月15日から、来年１月31日まで続けられる。

　鈴村選手は元Ｊリーガーだが、アルディージャに在籍したことはない。出身も愛知県だ。彼のプロフィールを読んでも、アルディージャとの接点はないようにみえる。

　もちろん、分かりやすい理由がなくたって、構わない。募金という行為は、少しでも力になりたいという善意こそが原動力になる。お金だけでなくたくさんの気持ちが集まることで、困難に立ち向かう人を勇気づけることができる。

　大宮が動き出したのは、２０１０年の出来事が関係しているだろう。腫瘍の摘出手術を受けた塚本泰史（現大宮アンバサダー）に、各方面から支援が集まった。

　正直に告白すれば、僕は募金に熱心でない。街頭募金にはかなりの頻度で出会うが、熱心な呼びかけに感心しつつも、そのまま通り過ぎてしまうことがほとんどだ。

　僕なりの言い訳をすれば、募金をしたお金の使い道を知りたいのだ。「募金詐欺」という単語があるように、善意のすぐそばに潜む悪意もある。集めた金額がどのように使われるのか知る手段があれば、気持ちがもっと前のめりになるのだけれど、と思う。その場で分かれば嬉しいし、「インターネットにアップしています」というひと言を聞くだけでも、協力しようという思いが膨らむ。

　Ｊクラブなら安心だ。単に募金を集めるだけでなく、いくら集まったのか、いつ寄付したのかといった情報を、しっかりと開示してくれる。

　サッカーとフットサルの違いこそあれ、同じフットボーラーである。同じアスリートである。アルディージャの働きかけは掛け値なしに素晴らしいとし、こうした動きがもっと拡がっていったらと願う。