損害保険ジャパンは、スマートフォン向けのアプリやSNSを活用した情報サービスを積極的に拡充している。(写真はサーチナ撮影)

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 損害保険ジャパンは、スマートフォン向けのアプリやSNSを活用した情報サービスを積極的に拡充している。7月30日に人気アニメキャラクター「秘密結社 鷹の爪」を起用したiPhone向け無料アプリ「無料版! 吉田の代弁 トラブル対処英会話篇 by 損保ジャパン」をリリース。8月2日にはFacebookアプリ「鷹の爪団との旅行ムービー生成アプリ」をリリースするなど、活発なサービス提供を進めている。(写真はサーチナ撮影)

 インパクトのあるキャラクターを起用したサービス提供については、一部では「生真面目な損害保険会社らしくない珍しい取り組み」という声もある。“とんがった”仕掛けを続けている背景について、同社マーケティング部企画グループ担当課長の中澤雄一郎氏に聞いた。

――「秘密結社 鷹の爪」を使ったアプリが話題になっていますが、どうしてこのようなアプリを作ったのですか?

 「秘密結社 鷹の爪」は、ユニークで斬新な鷹の爪団のキャラクターイメージが、当社の先進的な企業イメージとマッチしていると考え、アプリのキャラクターとしての起用を決めました。

 そもそも、このアプリは、海外旅行先での現地の人とのコミュニケーションを支援することを目的に開発しました。開発のきっかけは、当社が販売しているインターネットで手続きが完結する海外旅行保険「off!(オフ)」の加入者の方々に差し上げていた海外旅行の「ポケットガイド」という冊子に収録されている「トラブル英会話」のスマホ版を作りたいということでした。

 「ポケットガイド」は役に立つ情報が記載されているのですが、いざという時に持っていないと役に立ちません。その点、スマートフォンは、常に持ち歩かれていると思いますので、これを活用した情報サービスの充実を進めています。

 すでに、「トラブルCh」という無料アプリを2011年7月から提供しています。今回は、「トラブルCh」を補完するため、トラブル発生時に必要な英語を発音するツールを開発しました。ここに「秘密結社 鷹の爪」を起用することによって注目を集め、多くの方にダウンロードしていただくことを狙いました。

 そして、目立つキャラクターを起用することで、ダウンロードしたことを忘れないでいただく効果もあると考えました。

 トラブルは突然やってきます。実際に使っていただけるツールとして考えた時に、まずはダウンロードしていただく、そして、持っていることを忘れないという点で、「秘密結社 鷹の爪」のインパクトは大事な要素になります。

――リリースされて3週間ほどですが、アプリのダウンロード件数などに企画意図の効果は表れていますか?

 昨年リリースした「トラブルCh」と比較すると、1日あたりのダウンロード数は大きく上回っています。

 「吉田の代弁 トラブル対処英会話篇」では、「病院へ連れて行ってください」「荷物の置き引きにあいました」「日本語を話せる方はいらっしゃいますか? 」など、海外旅行時に遭遇するトラブルの時に咄嗟に使える英語のフレーズ31種類を収録しています。これだけで海外旅行中の主なトラブル対処がカバーできるように、フレーズを厳選しました。

 中には、「ヘルプミー! 宇宙人に誘拐されそうです」「島根に砂丘はありません」など、トラブルの時には実際に使えないようなギャグのフレーズもあります。これは、面白いアプリとして忘れないでいただきたいという仕掛けです。また、TwitterやFacebookなどで紹介・共有していただきたいとの思いもこもっています。

――Facebookアプリ「鷹の爪団との旅行ムービー生成アプリ」は?

 Facebookアプリは、海外旅行保険にちなんで、海外旅行に行った方が記念写真を複数枚公開したい時に、自由に使っていただけるアプリとして提供しています。このアプリを使うと、鷹の爪団の総統や吉田くんが登場するコミカルなショートムービーを簡単に作ることができるので、海外旅行の経験をてらいなく周りの方々に紹介できると思います。ムービーに出てくるキャラクターのコメントは、複数パターンを用意していますので、何度も使っていただけます。

――このような取り組みを進めている狙いは?

 当社は「この国でいちばん、お客さまの声に応えられる保険会社」をめざしています。お客さまの身近にいて、親しみを感じていただけるよう、スマートフォンを通じたサービスやSNSを使った情報提供などに積極的に取り組んでいます。

――今後、新しくリリースを予定されているアプリなどはありますか?

 8月下旬にリリース予定で自動車運転者向けiPhone向け新アプリ「Safety Sight(セーフティサイト)」(無料)を準備しています。グループの日本興亜損害保険と共同開発しました。スマートフォンを運転席の前に備え付けていただくことで、前方のクルマとの車間距離が詰まった時にアラート音を出して知らせるなど、安全運転意識の向上に役立てていただきたいと思っています。

 具体的には、「前方車両接近アラート・前方車両発進お知らせ」というアプリで初めて実装した機能があり、これは、運転中の前方映像の解析によってスマートフォンが前方車両との車間距離を認識し、前方車両の接近時や発進時にアラート音や声によるアナウンスで知らせるものです。

 また、運転中の揺れや位置情報、前方映像の解析によって「安全運転診断」を行うこともできます。走行したコースや速度、急ブレーキ地点などの「走行履歴」が確認できる機能もあります。さらに、運転中に急ブレーキや衝突などの衝撃を感知した場合は、衝撃の前後数十秒について、前方の映像を自動的に録画・保存する「ドライブレコーダー」の機能もあります。これらの機能は、カーメイト社の技術協力を受けて開発しました。

 10月以降にAndroid用にもアプリをリリースする計画です。

 今後も当社および日本興亜損保の経験やノウハウを生かしたアプリ等の開発を進め、安心や満足につながる高品質なサービスの提供を続けることを通じて、お客さまから選んでいただける保険会社をめざしたいと思っています。(編集担当:風間浩)