今回は、風評被害等は

「誤まった因果関係」

から生み出されているという話です。



私たちは、日々の現象の中に一定の

「特徴」や「パターン」(いつ見てもあまり変わらないことや、同じような現象が繰り返し現れるものごと)

を見つけるのが得意ですね。

例えば、遠くからでも友人が見分けられるのは、その友人の「体型」や「歩き方のクセ」などの特徴、パターンを認識しているからです。


また、複数の現象が「前後して」起こる場合には、それらの間になんらかの「関係性」を見出したくなるものです。とりわけ、前に起こったできごとは、その後に続いたできごとの

「原因」

に違いないと思い込む傾向が強いのです。

科学的に検証すれば、それらにまったく関係がないとしても、なんらかの「因果関係がある」と信じたいのが人間です。このため、例えば、

「クロネコが目の前を横切るとろくでもないことが起こる」

といった類の迷信やデマがたくさん生まれてしまう。


では、なぜ私たちは、前後に起きた現象に

「原因・結果の関係」

を発見したいと思うのでしょうか。

それは、原因・結果がわかると未来が予測できるからです。

未来が予測できれば、「えさ」にありつける可能性が高まったり、あるいは、自分の身に迫る危険を回避することができる。すなわち、生存能力がアップする。

ですから、周囲で起こる様々なできごとの中に、

「原因・結果関係」

を発見することは、私たちにとってとても価値あることなのです。


ただ、この心理的な傾向には弊害があります。

前述したように、科学的にはなんの根拠もない、つまり、ものごとが‘たまたま’前後して起きたに過ぎない場合にも、非常にしばしば

「因果関係」

を仮定してしまうという問題です。

実際、世の中には、単なる偶然に過ぎないものに無理やり因果関係を置いた

「誤った因果関係」

が数え切れないほど流布しており、社会全体を巻き込むような大問題につながることも少なくありません。



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