私たちは、周囲の状況をすべて、「ありのまま」に見ているわけではありません。というのも、ありのままを情報として取り込むには、情報量が多すぎて脳の処理能力を超えてしまうからです。





したがって、その時点で自分にとって関心がある、重要な情報に「注意」を絞りこんで、「なんらかの変化の発生」を予期しながら、脳内に取り込む情報を取捨選択しています。

このため、「選択的注意」の実験として有名な、

『見えないゴリラ』

のようなことが日常でもよく起きるのです。

*『見えないゴリラ(Invisible Gorilla)』

このビデオをご存知ない方は、まずは素直に「動画の指示」(白いシャツを着たチームが、バスケットボールを何回パスしたかを数える)に従ってみてください。


いかがでしたか?

すでにヒントが与えられているので、ゴリラを見落とした方は少なかったかもしれません。しかし、最初に行なわれた当実験では、ビデオを見た人の半数近くが「ゴリラ」の登場を見落としたのです。

「パスの回数を数える」という目的のため、白シャツの人々の動きに「注意」を集めていると、ゆっくりと横切る「ゴリラ」を見落とすというのは、驚くべきことですよね。おそらく、眼球では、ゴリラの存在を知覚していたはずですが、脳内で情報処理(認知)されなかったので、「見えなかった」ということになったのです。


ここで、「見えているはずのものを見落とす」ということについては、

「他のことに注意を向けていたから」

という理由に加えて、もうひとつ重要なポイントがあります。

それは、

「予期しないできごとは見落としやすい」

ということです。

先ほどの実験では、バスケをやっている人々の動画にまさか「ゴリラ」が登場するとは予期していなかったことが、見落とす割合を高めたのだと考えられています。


実は、

「予期していないできごとは見落としやすい」


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