走って楽しいFRスポーツを目指して開発がスタートしたとされるFT-86ですが、実際のターゲットユーザーは何処に置かれているのでしょうか? そして噂される196〜250万円の価格帯は果たして妥当なのでしょうか?今回はこの辺りを検証してみたいと思います。



http://carscoop.blogspot.com/2011/10/2012-toyota-ft-86-new-photos-surface.html


若者のクルマ離れが進む昨今、トヨタ社内でも企画段階で新たなスポーツカーの開発には紆余曲折が有ったようですが、「面白みに欠けるクルマが多い」と酷評されるトヨタにとって、「走り屋」で知られる豊田章男社長の新体制下では「至上克服課題」だったようです。 


ミッドシップ・スポーツのMR-S


さて、実はトヨタには過去にも似たようなミッションを背負わされたクルマが存在しました。そのクルマとはバブル崩壊後の1999年に発売されたスポーツカー。1.8L/140psで168万円〜のミッドシップスポーツ「MR-S」と、1.8L/145psで同じく168万円〜のFF「セリカ」最終モデルです。 


セリカ (末期モデル)


後者は米国向けにデザインされており、トヨタがスポーツカーを普及させようとそれまでの販売価格を若者向けに頑張って下げてはみたもののヒットに繋がらないまま、これらのモデルを最後に消えて行きました。その要因は主として一般ウケしないスタイリングにあったようです。


このように、ただ安くすれば若者に受け入れられると言うものでも無い事を思い知らされたトヨタは再びスポーツカー「FT-86」を開発するにあたって、世界中のスポーツカーファンにヒアリングをかけたようですが、その結果は十人十色だったそうです。



結局、導き出された答えはユーザーサイドが自分の「ベスト」を作り出せるクルマで、AE86のように「走って楽しい、弄れるクルマ」というもの。そこで上記の如く苦い経験をしたトヨタが改めて考えたのは、そこそこのエンジンパワーが有って巷のショップでも手が加え易く、且つユーザーの日常メンテも容易なスポーツカー。


その結果が今回の2.0L、NAで200ps/7,000rpm、最大トルク20.9kgmの4シータークーペという仕様に行き着いたようです。ターボ無しで1.6Lでは流石に出力的に苦しいと考えたのでしょう。車格的には「レビン」や「トレノ」というよりは「セリカ」に近いスペック。


まだ正式ネーミングが公開されていませんが、この辺りが今後のヒントになりそうです。



http://carscoop.blogspot.com/2011/10/2012-toyota-ft-86-new-photos-surface.html


前置きが長くなりましたが、ここからが本題。今回、「FT-86」と呼ばれるこのクルマのターゲット層をややこしくしているのが実はこの開発コードナンバー。


以前にも「ホンモノのほうがカッコいいです。FT-86 数々の新事実」でお伝えしたとおり、開発責任者の多田チーフエンジニアによると「86は社内の開発コードナンバーであって特にAE86とハード面での繋がりを示す物では無い」としています。真に意味するところはAE86のようにユーザーが育ててくれるようなクルマになって欲しいという思いで選んだNoとか。



http://carscoop.blogspot.com/2011/10/2012-toyota-ft-86-new-photos-surface.html


ちなみにこのクルマを見た若者の反応は・・・


・「若者」がターゲットなら1.5L、150万円クラスが妥当。(<200万円)
・乗り出し300万円となり、高くて買えない。あと100万円下げないと・・・
・現実的には中高年向けのセカンドカーでは?(鋭い!)


などとといった声が多いようです。ちなみに1983年登場のAE86は1.6L、130psで価格帯は132〜156万円でした。普通に考えると、約30年経過した現在、物価上昇も考慮すると2.0Lで200psのFT-86が当時のAE86と同様の価格帯で販売できる筈もありません。では一体このスポーツカーはどの位の年齢層のユーザーをターゲットにしているのでしょうか。


トーク中の多田CE(右)


実はその答えを多田チーフエンジニア自ら、あるインタビューで次のように答えています。「メインターゲットは40〜50代の男性で80年代の若い頃にかつての「ハチロク」に乗っていた、或いは憧れていた人々。


目指すのは、オヤジがカッコよく見えるクルマで運転する姿を見て、息子が自分も乗ってみたい、運転したいという憧れや夢を抱くクルマ」と。




どうやらオジサン達の楽しそうな姿から、若い人にも関心が広がって欲しいと考えているようです。現に車両価格については「ハチロクが発売された1983年頃の大卒初任給と、現在の初任給の比率位の値段で出したいですね」」とも答えています。 それが今回噂されているの196〜250万円の価格帯という訳です。


要するに、今回のFT-86というクルマはそのスタイル上、一見「若者向け」に開発されたクルマのように見えますが、実はそうでは無く、40から50歳代の「元」若者向けのクルマだったというのが真相のようです。 従って、気になる車両ネーミングもそれにマッチした物になるものと思われます。


こちらも併せてお読み下さい。 http://clicccar.com/2011/10/28/75591


(Avanti Yasunori )


【画像がすべて見られない方は>>>  http://clicccar.com/76303 】



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