なかなか勝てなかった7月の大宮戦後にも「良い時は自分が攻撃しなくても周りで良い連動ができているので、自分が真ん中で守備できたのが仙台がはまっていた時期のサッカー。最近はちょっと前に行かなければならないシチュエーションがある。もう少し自分が真ん中で守備できたら」と仙台が良い時期の攻撃陣の連動性の高さについて言及した。

 仙台の選手の基本技術の高さや、攻撃陣の連動性の高さには驚かされていたようだ。

■高いポゼッションへのこだわり
 角田が加入後一貫して話しているのはポゼッションへのこだわりだ。元々京都のアカデミー出身で、ユース年代の代表も経験してきた角田は、やはりポゼッションを高めることへのこだわりが常にある。

 5月に行われ、後半相手のパス回しに苦しみ3-3に終わった磐田戦後「これから気温も上がっていくし、もう少しボールをコントロールしていかないと」とチームの問題点を指摘していた角田。その予想が当たったのか、7月は連戦と猛暑でそれまで豊富だった活動量が落ち、ボールをうまく回すこともできなかったため、チームは急激に失速していった。7月の大宮戦後にチームの不振の要因ついて話を聞くと「もう少し自分たちでボールを動かさなければならないというイメージが強い。もうちょっと下で繋ぐ意識を持たないと、これからはもっときつくなる」と語り、ポゼッションをもっと高めなければならないという意識は強かったようだ。

 そして8月末から9月にかけては、チームのポゼッションが大きく向上した。角田や富田から相手の守備ブロックの中への縦パスが何度も見られ、パスで相手を崩す場面も増えてきた。角田は最近のプレーについて「運動量は少なくなったかもしれないが、その分考えてプレーできるようになった。チーム全体がボールを握れているから、そこまで運動量を多くする必要もなく、前にも出て行けている」と語っている。春先から夏にかけては、活動量とロングボールへの依存が高かったチームの中で周りの連動性が足りない時に前に出ていた角田が、余裕を持って前に出て行けるように変わった。角田自身も春先以上にポゼッションが向上し、良いサッカーができている手応えを感じているようだ。

■チームの牽引役として高まり続ける期待
 手倉森監督の角田への信頼は絶大だ。攻守の高いプレーの質だけでなく、試合中積極的に声を出すキャプテンシーを評価し、7月末に行われたJリーグヤマザキナビスコカップ柏戦では角田にゲームキャプテンを任せた。Jリーグで初めてキャプテンマークを巻いたという角田は期待に応え、ミドルシュートを決める活躍を見せて勝利に貢献した。「関口がつけたくないと言ったのでつけたが、個人的にはキャプテンマークを巻くと感じる部分がある。そのおかげとは言わないがテンションが普段以上に上がった」とこの試合を振り返った。

 そして先日の第28節C大阪戦では、終盤キャプテンの柳沢敦、副キャプテンの梁勇基、関口訓充が全員交代したため、再びキャプテンマークを巻いた。これからの仙台を引っ張る存在になりつつある。

 角田が仙台で再ブレイク的な活躍を見せているのは、仙台のサッカースタイルにより角田自身のポテンシャルが引き出されたこともあるだろうが、指揮官の絶大な信頼も大きい。信頼して大きな役割を任せることで、角田はさらに自身の良さを引き出されている。

 J1残留を決めた仙台は来シーズンさらなる飛躍を目指し、堅守速攻という今のストロングポイントを生かしつつ、ポゼッションで相手を崩すこともできるチームへと変貌を遂げねばならない。今後さらなる高みを目指せるかどうかは角田自身のパフォーマンスにもかかっている。チームと共に角田がどれだけ高みを目指せるか、悲願のフル代表入りも視野に、さらなる活躍を期待したい。

■著者プロフィール
小林健志
1976年静岡県静岡市清水区生まれ。大学進学で宮城県仙台市に引っ越したのがきっかけでベガルタ仙台と出会い、2006年よりフリーライターとして活動。ベガルタ仙台オフィシャルサイト・出版物や河北新報などでベガルタ仙台についての情報発信をする他、育成年代の取材も精力的に行っている。


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