動画共有サイト『ニコニコ動画』は、来年4月に開催するイベント「ニコニコ超会議」の公式ツイッターアカウントの運用を、北海道長万部町のイメージキャラクター「まんべくん」を運営していたコンサルティング会社のエム社に委託すると発表した。

 まんべくんといえば、8月14日の終戦記念日前日に「どう見ても日本の侵略戦争が全てのはじまりです」などといった数々の“爆弾ツイート”を投稿、クレームが殺到しアカウント停止に追い込まれている。しかも、過激な発言はこれに始まったことではなく、以前から「昨日、子ども2人殺したよ!」などといったキワドイつぶやきが問題視されていた。

 いくら人気があったとはいえ、これでは長万部町のイメージをいたずらに落とすだけだったのではないのか。まんべくんの“中の人”、エム社社長の佐藤健次郎氏は一連のつぶやきをこう釈明する。

「長万部町には本当にPRするところがないんですよ! 旅行客がやって来ても、その“何もなさ”で二度と来てくれない。長万部町が何もないところと覚悟のうえでまんべくんに会いにきていただければ、お客さんは『予想よりもイイ』とプラスの印象で帰ってもらえるのではないかと。まんべくんの発言で町の悪い部分を指摘することでよりよい町に変化させたいと考えていました」

 地元PRのため、無償でまんべくんを運営していたとはいえ、終戦記念日の前日にあんな発言はうかつすぎるのでは?

「ただ多くの方に戦争について関心をもっていただきたかっただけです。こんな騒動になるなんて予想だにしてませんでした。でも、よくよく考えてみるとなんでもないことです。ゆるキャラだから毒舌がダメなんてことはないですから。それなら、アンパンマンがバイキンマンを殴る行為も悪いことだと思いますし、アニメのキャラクターが“殺す”とかって言うのも取り締まるべきだと思います」(佐藤氏)

 佐藤氏のこうした発言に、実際にゆるキャラの運営に携わる人々の胸中は複雑だ。フリーライターで都内の商店街のご当地キャラを運営している犬山秋彦氏はこう明かす。

「正直、複雑な気持ちでまんべくんを見ていましたよ。人気を獲得していることはうらやましいですけど、絶対にまねはできません。キャラクターを使った自治体のPRとしては邪道ですから。ご当地キャラは、地域外の人へその地域の認知度を上げるという“外”へのアピールと、地元の人にもっと地元のことを好きになってもらい、地域の一体感を高める“内”へのアピールというふたつの目的があります。まんべくんは前者は成功を収めましたが、後者はかなり疑問です」

 よくも悪くも「ゆるキャラの異端児」だったまんべくん。長万部町役場総務課の担当者によると、「再開するとしても、キャラクターは見直す必要がある」とのことで、まんべくんは今後、「普通のゆるキャラ」に無事(?)戻るのかもしれない。


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