部下の強みに焦点が当てられないマネジャーのパラダイム。

ドラッカーの有名な言葉に、「強みに集中せよ」がある。意味の一つは、個人にしても組織にしても、苦手や弱みを普通レベルや得意となるまで引き上げていくことはとても難しいので、強みを更に伸ばすほうが効果的である、ということ。もう一つは、「組織のメンバーが同じような強みを持っていても、それは外から見れば弱みがある状態」であって、逆に「各々が異なる強みを持てば、外から見て弱みがない状態にすることができる」ということだ。

ところが、多くのマネジャーはこれが出来ない。強みに焦点を当て、それを伸ばしてやるほうが良いのは分るが、その前に、担当業務を任せられるレベルになってもらわないと困る、と言う。部下は、その仕事の難しさに比べてスキルが足りない状況であり、とりあえず今の段階では、その弱みを放置しておくとマズイ、と考えるようだ。ところが実際には、そのように言う(「まずは弱みの克服が重要で、強みに焦点を当てるのはそれからだ」)マネジャー達は、いつまでたっても弱みの克服をメンバーに要望している。多分、多くは強みに焦点を当てる気はないのだろうと思うし、それがマネジメントのスタイルとして染み付いてしまっているようだ。

多くのマネジャーがそのようになる理由は、3つ考えられる。一つ目は、業務遂行には高い関心を示すが、組織開発(チームワーク)に関心がないことだ。業務の状況や個別のスキルを評価・管理することには力を注ぐが、組織の士気向上や活性度合い、シナジーの創出には目が向かないし、どうしたらいいかも分からない。個別に見て、その知識や技術の物足りない部分を嘆くだけではなく、言動やパーソナリティにおいて長けている部分を見出し、それを活かせる役割やミッションを創り出し、与えることが出来ないのである。


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