今矢監督はオーストラリアやスイスなどでプレーした元プロ選手で、UEFAカップに出場した経験も持つ、堂々たる海外組であり、英語でサッカーを教えられる日本人指導者でもある。欧州でのキャリア、そこで得た知見に参照しても、6部リーグとしては、東京都リーグ1部のレベルはきわめて高いようだ。

5月22日の東京都リーグ1部第4節。早稲田ユナイテッドがホームの早稲田大学東伏見グラウンドにて1-0でプログレッソ東京に勝利した直後、今矢監督に東京都リーグ1部のレベルについて訊いた。
「東京都リーグ1部のレベルは非常に高いですよ。おそらく海外の人が観たら“これが6部リーグか”と思うはずです。技術は非常に高い」
「JFLになるとフルタイムで(サッカーを)やっているチームも多いので体力面での違いはありますが、関東リーグ1部、2部と東京都リーグとでは選手の技術力自体は変わらない。正直なところ、Jリーグなど上のカテゴリーでやれそうな選手が何人もいる。上と下の差があまりないですね」

東京都リーグ1部のレベルでは、勤め人や学生である選手たち自身が練習の時間を確保できず、またコートを含めて練習環境が整わないことが多い。Jリーガー、資金力のある企業チームの選手、現役の大学生、高校生には、体力面ではかなわないのかもしれない。

だが技術やセンスは優れている。その特徴を活かし、まとめることができれば、関東リーグクラスのクラブにも見劣りしないチームをつくれる。

■個性あふれる都1の全15チーム

では、東京都リーグ1部ではどういったチームを観ることができるのか。取っ掛かりとなるのは、やはりJFLをめざし、場合によってはJリーグをめざしてもいいと言うクラブだろう。

元FC東京のアマラオが監督として率いる東京23FCは、その名のとおり23区=東東京にねざしたクラブをめざし、トップチームがクラブを牽引するかたちで強化を進めている。

いっぽうで育成〜普及年代の男子、女子の組織を整えてから上をめざそうという東京ベイFCのようなクラブもある。

古くからのサッカーファンには、関東リーグに昇格したこともあるT.F.S.C.(元東芝府中サッカー部)、ユース部門が有名な三菱養和サッカークラブ(のトップチーム)、お正月の入れ替え戦でS.C.相模原に敗れて惜しくも東京都リーグ1部に降格してきたSGシステム(以前の佐川コンピューターシステム)の後身V.F.C1st、昨年の得点王岩田朗が所属する青梅FC、それに天皇杯優勝経験がある古豪のアストラ倶楽部などは、なじみが深いかもしれない。

そのほか、大学発のクラブチームである早稲田ユナイテッド(早稲田大学系)やFCGIOCO世田谷(駒沢大学系)、勤め人の集まりで東京都リーグ1部のグレードで戦うことを目標とするCERVEZAFC東京など多士済々だ。

こうした個性あふれる、そしてレベルの高い15チームが、関東リーグ2部昇格をかけた、三つの関東社会人サッカー大会枠を競うのが東京都リーグ1部なのである。いずれかのチームに着目しつつ、リーグの動向を追うと楽しみやすいのではないだろうか。


次回以降は個々のクラブやゲームにフォーカスしつつ、東京のアンダーカテゴリーを解説していきます。

■著者プロフィール
【後藤勝】
東京都出身。ゲーム雑誌、サブカル雑誌への執筆を経て、2001年ごろからサッカーを中心に活動。FC東京関連や、昭和期のサッカー関係者へのインタビュー、JFLや地域リーグなど下位ディビジョンの取材に定評がある。著書に「トーキョーワッショイ」(双葉社)がある。
2011年3月、FC東京の取材に特化した有料メールマガジン「トーキョーワッショイ!MM」を創刊した。


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