ファミレスが相次いで変身を遂げているという。それは「選択と集中」の結果。数多くのメニューを多様な顧客に適合するようにと「選択」はしてきたものの、「集中」を欠いていた業界がいよいよ生き残りをかけて「集中」するために、「捨てる」勇気を振り絞った。


 5月27日付日本経済新聞に「外食大手 ファミレス縮小 専門店へシフト」という記事が掲載された。ファミレスチェーンの業態転換を伝えているのである。記事によれば、ロイヤルホールディングスはロイヤルホストを300店越えの現状から5から10年で200店に縮小する一方、天丼の「てんや」を5年後めどに125店から200店に拡大。セブン&アイ・フードシステムはデニーズの出店を凍結。ハンバーグ店「ぐーばーぐ」等の新業態開発・展開に注力。スカイラークはガストの出店を駅前好立地30店に絞り、「ステーキガスト」を126店新設。他、しゃぶしゃぶ、焼き肉などを強化するという。

 ファミリーレストランが登場したのは1970年のこと。「すかいらーく・府中店」が第1号だ。当時は1973年の第1次オイルショック前の高度成長期末期。昭和の古き良き時代である。ファミレスは庶民のささやかな贅沢であった、「デパートのお好み大食堂」に代替しつつ、モータリゼーションの進行と相まってロードサイドを中心に店舗数を伸ばし、「すかいらーく」ブランドだけでもピークの1993年には全国720店舗に達した。
 1993年、つまり日本がバブル崩壊後の「失われた20年」に突入した年を境にすかいらーくの店舗は減少に転じ、2008年10月に低価格な「ガスト」に転換するため埼玉県・川口新郷店が最後に看板を下ろし、社名のみに名を残すこととなった。

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