前回、そして以前にも良い企業のカルチャーの一つには「共通言語」があるということを取り上げました。
誰もがその言葉を使えば同じ認識を持つことができる。
共通の言葉という意味だけでなく、共通の手法であり、共通の目指すべき姿を表すものなのです。

GEでの「6σ」「ワークアウト」「DMAIC」「DMADV」しかり、トヨタの「カイゼン」「(にんべんのつく)自働化」「見える化」「棚入れ」、先般取り上げた長浜キヤノンさんの「三他のこころ」「生産的まさつ」などなどです。

最近逆の意味から言葉の持つ力はやはり大きい、と感じることがあります。
それは今回の震災での場面です。

今回の震災を機に多くの聞きなれない言葉が使われるようになりました。
「メルトダウン」「復旧と復興」「未曾有」「想定外」「風評被害」多くの言葉に対して私は違和感を覚えます。

例えば、「メルトダウン」です。
「メルトダウンしているのですか?」どこかの記者が会見で質問します。
誰もがメルトダウンという言葉に対して深刻なイメージを持っています。
「はい、そうです。」と答えると、翌日の新聞で大きな見出しで「福島原発メルトダウン」という記事が出ることは容易に想像できます。
実際には「メルトダウン」という言葉は正式な用語ではないようです。
炉心が溶けて下に落ちる状態であればいわゆる「炉心溶融」の状態というのだそうです。「炉心溶融」はしていても「溶けた燃料が圧力容器を突き破って漏れる状態」であるかどうかはまた別の話です。ですから当初の会見での受け応えとして「燃料が原形を保っていないというのが定義なら、それに当たります」と答えていました。この答えは曖昧なようですが、実は正しいのです。
逆に多くの人たちは「メルトダウン」という言葉に「イエス」と答えたら「溶けた燃料が容器を突き破って漏れている」状態をイメージしてしまったでしょう。

続きはこちら