5月11日付日経新聞に掲載された2つの記事。そこには変化の激しい昨今の環境の中で模索する企業の姿が描かれていた。そこから学ぶべきことは何だろうか。


 アスクルが実験器具やガラス容器などの、いわゆる「理学用品」のネット通販を展開するという。
記事によると、ターゲットはメーカーの研究施設や学校からの受注を見込むとある。取扱う商品は実験器具や計測機器、洗浄機など約25000点。将来的には数十万点まで増やすことを見込んでいるという。販売チャネルはネット限定。カタログでは掲載商品点数に限りがあり、製品の仕様変更や研究現場の要望による品揃え、価格設定変更に機動的に対応できないためだという。

 注目すべきは、収益と市場拡大の見込みだ。見出しにも「価格競争少なく高収益」とあるが、一方、上記の将来的に数十万点という取扱商品点数になった時点で「数億円の売上を計画している」という。

 アスクルの売上高は2010年5月期で1889億円。それに対して数億円は微々たる金額だといえるだろう。しかし、その売上高の数字は2009年の1904億円から低下。営業利益、経常利益も2008年から右肩下がりが続いている。
 アスクルの歴史は、文具メーカーのプラスの社内で1990年に新たな文具流通の仕組みを検討する「ブルースカイ委員会」としてスタートした。その後、1993年にアスクル事業を開始。1997年にメーカーであるプラスから、流通業として独立を果たしたのである。その足跡は、ひたすら商流・物流を構築・強化してきた歴史であるともいえよう。市中の文具店を敵にせず、味方に付ける「エージェント(代理店)制度」や、「明日来る」を実現するために構築した巨大物流センターなどがその成果だ。

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