現在、シンガポールで第1回ユースオリンピックが開催されている。これは青少年にもオリンピックを体験させようという主旨のもとに生まれた大会で、今後は4年に一度、夏季も冬季も行われていく。
世界的に見てもあまり注目されていない大会なのだけど、大会第一号の金メダルを日本の女子トライアスロンの選手が獲得するなど、日本人にとっても見どころは多い。中でも気になったのがバスケットボールで、通常の5人対5人ではなく、3人対3人で試合が行われているのだ。詳しいことはわからないが、5人制よりも1対1の場面が多くなるし、育成を考えてのことかもしれない。

これを見ていて、今年4月に日本サッカー協会が下したある決定について思い出した。小学生の全国大会である「全日本少年サッカー大会」を、次回2011年大会から8人制にするというものだ。
協会はその狙いとして、ボールタッチ数の増加、ゴール前のプレーを増やすこと、それらによって個の力をさらに伸ばす、というようなことをあげている。

正確なボールタッチと素早い判断力を養うという意味で、僕は少人数制サッカーやフットサルなどを子どもがプレーすることに賛成している。12歳以下というのはもっとも成長する年代だ。ブラジル代表選手の多くが子どもの頃のストリートサッカーやフットサルで技術の基礎を身につけているように、少年たちの試合は多ければ多いほどいいと思うし、ありとあらゆるフィールドやルールでプレーすべきだと思う。

ただし、それらはあくまでトレーニングだ。小学生年代のもっとも大きな大会である全日本少年サッカー大会が、8人制と決めつけられたことに関しては、疑問を持つね。何でもかんでもトップダウンで決めたがる、協会の体質的問題も感じてしまう。
実際に、小学生チームの指導者たちからは、反対意見も多く出ているという。こうすれば個の力が向上するはずだ、という机上の論理だけで決められてはいないか。育成の根幹に大きく関わる変更なだけに、現場の指導者たちも気が気じゃないだろう。

何年後かに、あれは失敗だったなんてことにならないことを祈って、11人から8人への変更がどんな影響を及ぼしていくか、今後も注目していきたいね。(了)