「画素数の競争はもはや過去」:富士フイルムの新しいCCDとは
画素数の競争は、もはや過去の話だ。富士フイルムはそのことをよくわかっている。
デジタルカメラ市場では、撮像素子の画素数を増すことに根強い需要がある。画素数は、画質を比較する便利な基準として用いられることが非常に多い(中略)。各画素の小型化が進むにつれ、ノイズの増加、白とび、黒つぶれといった問題が増えている。
富士フイルムの新製品『FinePix F200EXR』は、通常のコンパクトデジタルカメラとそう違いはないように見えるが、撮像素子の設計が異なっている。このカメラには、新開発の『スーパーCCDハニカム EXR』が初搭載されているのだ。
これは、カメラ向けCCDの常識を根底から覆す新技術だ。富士フイルムは興奮のあまり、英国ではこのCCDのみを紹介するプレスリリースまで出している。
では、これはどのような仕組みなのだろう? 上の図を見れば、新しいチップの決定的な違いがわかるはずだ。同じ色の画素が2つずつ連続した配置になっている。これにより、2つの画素を1つの画素として扱うことができるため、事実上、感度が2倍になるというわけだ。もちろん、2つの画素はそれぞれ微妙に異なる情報を記録しているため、解像度が損なわれることはない。
この配置により、「ワイドダイナミックレンジ技術」も実現されている。こちらは、連続した同じ色の画素が2つに分かれ、一方のセットが高感度、もう一方が低感度を担当する。つまり、明暗が別々にとらえられ、結合されるというわけだ。写真を撮影すると同時に、ハイダイナミックレンジ合成(HDR)の処理が行なわれると考えればいい。
では、写真を撮る側にとっては、具体的に何が変わるのだろう? もし宣伝されている通りの機能があるとすれば、暗い場所で撮影しても、ノイズを非常に低く抑えられる。また、階調が豊富になり、色彩も豊かになる(例えば、白とびがなくなる)。そして何より、暗闇に近い場所でも撮影できるはずだ。
最高感度はISO 12800で、このサイズのカメラでは画期的だ(ニコンの『D3』や『D700』では、大型撮像素子を使うことで、同等の感度をどうにか実現している)。
ISO 12800まで感度を上げると、画素数は最大の1200万からわずか300万まで下がる。それでも、きれいな写真が撮れるのであれば問題ない。
最後に、カメラの仕様を紹介しておこう。2段階の手ぶれ補正機能、3インチの大きな液晶画面、マニュアルモード、1200万画素のCCD、標準画質の動画撮影などを備えている。価格は未定だ[日本ではオープンプライスで2月21日発売予定]。
『Digital Photography Review』の記事「富士フイルムがスーパーCCDハニカム EXR搭載のFinePix F200EXRを発表」を参考にした。