【電脳遊戯X】ゲーム業界を暗躍する影「マジコン」のルーツに迫る(後編)
前回に続き、マジコンの系譜について解説する。
と、まずはその前に。マジコンを使用するうえでの合法、非合法の「境目」について。
所有する製品ゲームを個人で楽しむために、マジコンでバックアップするのは私的複製の範囲内と見なされ合法。だが、バックアップしたデータの扱いには十分注意しなければならない。マジコンでファイル化されたゲームROM(以下ROMファイル)の売買や譲渡は、当然、違法行為になる。また、知人から借りたゲームのバックアップや、バックアップを取ったうえでの製品ゲームの売却や譲渡も同様に違法行為となる。
ところが、インターネット上の違法配布サイトからのダウンロードによるROM入手は、実は合法なのである。現在の法案ではROMファイルをダウンロードすることが私的複製の範囲内と見なされるため、製品ゲームを所有していない場合でも私的複製の範囲内にあたるのだ。なんとも不思議な話である。今後、これを規制しないことには、製品ゲームを購入しないマジコンユーザーが増えてしまうことだろう。
ちなみに、ROMファイルのダウンロード入手が合法といっても、WinnyやShare、BitTorrentなど、P2Pタイプのファイル共有ソフトの使用は、ダウンロードの過程でアップロードをしている可能性がある。そのため、P2PによるROMファイルの入手は、意図的でなくとも違法行為になっていることもある。また、製品ゲームを所有している状態での私的複製であっても、違法になるケースがひとつある。それは、ゲームにかけられているプロテクト(コピー防止プログラム)を意図的に解除することだ。これには後述するMODチップなどが該当する。
なんにしても、合法、違法を問わず、購入していないゲームを所有して遊ぶのは、明らかにゲーム制作会社、販売会社の不利益になる。ゲームを愛し、今後のゲーム業界の発展を願うのであれば、いかなる入手経路であろうとも購入していないゲームのROMファイルを所有するのは避けるべきだ。下記にROMファイルの扱いに関する合法行為と非合法行為をまとめるので、参考にしてほしい。
◆ROMファイルの扱いに関する合法と非合法
○:マジコンを使用して製品ゲームをROMファイルにする
○:自分でROMファイル化したゲームをプレイする
○:インターネットでROMファイルをダウンロードしてプレイする
×:製品ゲームをROMファイル化した後に、製品ゲームを譲渡や売却してROMファイルを所持する
×:借りたゲームをマジコンでROMファイル化した後に返却し、ROMファイルを所持する
×:ROMファイルを売買、譲渡する
×:ROMファイルを第三者がダウンロード可能なネットワークへアップロードする
×:コピー防止プロテクトを解除する
さて、それでは、マジコンのルーツの続きについて解説していこう。
この頃のマジコンは、製品ゲームからバックアップしたデータの読み込みと書き込みに3.5インチのフロッピーディスクを使うのが一般的になっていた。フラッシュROMを使っていたファミコン時代に比べると、バックアップに必要なコストが大幅に削減されたのだ。これは、マジコンのパーツとしてパソコンで使われているディスクドライブを安価に流用できたことによる恩恵である。なお、この頃にはパソコンの普及率も飛躍的に上がってきており、その部品を使うことでマジコン本体の価格もコストダウンされていたのだ。また、フロッピーディスクにバックアップできることで、パソコンでのデータ読み込みが容易になり、セーブデータの保存や改造などが盛んに行なわれた。これもパソコン普及によってマジコンが受けている恩恵のひとつである。このように、パソコンの普及と発展がマジコンの生産と機能的面での発展に大きく関与していたのだ(驚くべきことにHDDやMO、CD-ROMと連動可能なSFCマジコンも存在した)。これは、SDカードなど小型大容量のメディアを用い、データ転送にパソコンを必須とする現在のマジコンにも同様のことがいえるだろう。
マジコンはパソコン普及という世界的な背景により、より安価で高性能化していった。だが、その違法性の高さからか国内ではアングラ誌で紹介されるにとどまり、販売するショップもごくわずかでマニアのみぞ知るといったツールであった。ちなみに、SFCのライバル機であるメガドライブ、PCエンジンのマジコンは、それぞれの専用機という形ではなく、SFCを含む多機種対応型マジコンによってフォローされていた。特に、北米市場でNo.1のシェアを獲得したメガドライブとSFCのコンビネーションマジコンは、いくつも開発されていた。
次のページでは、90年代中盤〜90年代後半のマジコン事情と、最新の携帯ゲーム機用マジコンを紹介する。
と、まずはその前に。マジコンを使用するうえでの合法、非合法の「境目」について。
所有する製品ゲームを個人で楽しむために、マジコンでバックアップするのは私的複製の範囲内と見なされ合法。だが、バックアップしたデータの扱いには十分注意しなければならない。マジコンでファイル化されたゲームROM(以下ROMファイル)の売買や譲渡は、当然、違法行為になる。また、知人から借りたゲームのバックアップや、バックアップを取ったうえでの製品ゲームの売却や譲渡も同様に違法行為となる。
ちなみに、ROMファイルのダウンロード入手が合法といっても、WinnyやShare、BitTorrentなど、P2Pタイプのファイル共有ソフトの使用は、ダウンロードの過程でアップロードをしている可能性がある。そのため、P2PによるROMファイルの入手は、意図的でなくとも違法行為になっていることもある。また、製品ゲームを所有している状態での私的複製であっても、違法になるケースがひとつある。それは、ゲームにかけられているプロテクト(コピー防止プログラム)を意図的に解除することだ。これには後述するMODチップなどが該当する。
なんにしても、合法、違法を問わず、購入していないゲームを所有して遊ぶのは、明らかにゲーム制作会社、販売会社の不利益になる。ゲームを愛し、今後のゲーム業界の発展を願うのであれば、いかなる入手経路であろうとも購入していないゲームのROMファイルを所有するのは避けるべきだ。下記にROMファイルの扱いに関する合法行為と非合法行為をまとめるので、参考にしてほしい。
◆ROMファイルの扱いに関する合法と非合法
○:マジコンを使用して製品ゲームをROMファイルにする
○:自分でROMファイル化したゲームをプレイする
○:インターネットでROMファイルをダウンロードしてプレイする
×:製品ゲームをROMファイル化した後に、製品ゲームを譲渡や売却してROMファイルを所持する
×:借りたゲームをマジコンでROMファイル化した後に返却し、ROMファイルを所持する
×:ROMファイルを売買、譲渡する
×:ROMファイルを第三者がダウンロード可能なネットワークへアップロードする
×:コピー防止プロテクトを解除する
さて、それでは、マジコンのルーツの続きについて解説していこう。
■マジコン第一次黄金期
80年代後半〜90年代前半、スーパーファミコン(以下SFC)を筆頭とした次世代機によるシェア争いは、ファミコンブームの勢いをそのままに加熱していった。当然、次世代機のマジコン開発もそれに合わせて加熱し、まもなく前回紹介したスーパーマジコンが開発される。ちなみにマジコンの開発は、主に著作権法に関する法整備か進んでいない中国や台湾で行なわれ、欧米や香港、日本などをターゲットとして輸出された。この頃のマジコンは、製品ゲームからバックアップしたデータの読み込みと書き込みに3.5インチのフロッピーディスクを使うのが一般的になっていた。フラッシュROMを使っていたファミコン時代に比べると、バックアップに必要なコストが大幅に削減されたのだ。これは、マジコンのパーツとしてパソコンで使われているディスクドライブを安価に流用できたことによる恩恵である。なお、この頃にはパソコンの普及率も飛躍的に上がってきており、その部品を使うことでマジコン本体の価格もコストダウンされていたのだ。また、フロッピーディスクにバックアップできることで、パソコンでのデータ読み込みが容易になり、セーブデータの保存や改造などが盛んに行なわれた。これもパソコン普及によってマジコンが受けている恩恵のひとつである。このように、パソコンの普及と発展がマジコンの生産と機能的面での発展に大きく関与していたのだ(驚くべきことにHDDやMO、CD-ROMと連動可能なSFCマジコンも存在した)。これは、SDカードなど小型大容量のメディアを用い、データ転送にパソコンを必須とする現在のマジコンにも同様のことがいえるだろう。
マジコンはパソコン普及という世界的な背景により、より安価で高性能化していった。だが、その違法性の高さからか国内ではアングラ誌で紹介されるにとどまり、販売するショップもごくわずかでマニアのみぞ知るといったツールであった。ちなみに、SFCのライバル機であるメガドライブ、PCエンジンのマジコンは、それぞれの専用機という形ではなく、SFCを含む多機種対応型マジコンによってフォローされていた。特に、北米市場でNo.1のシェアを獲得したメガドライブとSFCのコンビネーションマジコンは、いくつも開発されていた。
写真はSFCとMDのバックアップが可能なマジコン「Multi Game Hunter」。 |
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