【兵庫県知事選】県民は誰をリーダーに選ぶ?過去最多7人の立候補者の『訴え』 最大争点は「県政の立て直し」と「知事の資質」 11月17日(日)投開票
職員へのパワハラ疑惑などを告発された斎藤元彦前知事が、県議会で不信任決議を可決され失職したことに伴う兵庫県知事選挙。最大の争点は、停滞と混乱が続いた県政の立て直しと、知事としての“資質”です。立候補者は過去最多となる7人。11月17日(日)に行われる投開票に向けて、舌戦を繰り広げています。
元参院議員 清水貴之さん
(元参院議員 清水貴之さん)「この混乱を何とかする、これが今回の選挙戦の一番大きな争点だと思っています。兵庫県の混乱をまずはしっかり立て直していく、正常化していく、そして兵庫県をさらに輝かせていく」
元アナウンサーで参院議員を辞職して知事選に臨む清水貴之さん(50)。高校・大学の学費軽減や子育て支援の拡充、さらに県内の観光PRなどに力を入れて、県民の生活満足度を指す「ウェルビーイング」で日本一を目指したいと訴えます。
(清水貴之さん)「地域・地域がそれぞれ頑張っていらっしゃることをつないでいって、日が当たり注目をされるようにするのが県の役割かなと思っています。そのためには、各地域・地域が何を考えて、どういうことをやりたいかということを、しっかり聞きながら話を進めていくことが大事かなと思っています」
日本維新の会所属の参院議員だった清水さんは当初、10月の衆院選に兵庫8区からくら替えで出馬する予定でしたが、県政の混乱を受けて知事選への出馬を決断。幅広く多くの人の声を取り入れたいとの理由から、維新の会を離党し、自ら“無所属での戦い”を選びました。
応援にはデヴィ夫人も駆けつけました。
(デヴィ夫人)「幸せな家庭を作れるような、そういう兵庫県を必ず彼は作ってくれますから」
これまでの選挙戦、手ごたえは?
(清水貴之さん)「まだ、なかなか厳しいなという感じがするので、最後1週間、しっかり頑張ろうと。ネットの中でも、けっこう激しいやり取りがあると聞いていますので、そういうのも全てひっくるめて『混乱』だと思うので、全部改善していきたい、前に進めていきたい」
前尼崎市長 稲村和美さん
(前尼崎市長 稲村和美さん)「職員が本来の力を発揮できる県庁に回復させる。信頼の下で仕事ができる、風通しの良い県庁にしていく」
元兵庫県議で前尼崎市長の稲村和美さん(52)。斎藤前知事が県職員へのパワハラ疑惑などで告発されたことを念頭に、知事や副知事を対象に含めた新たなハラスメント防止条例の制定のほか、尼崎市長時代の経験から自治体の財政状況に合わせて柔軟に支援する子育て支援応援交付金の創設などを掲げています。
(稲村和美さん)「職員が知事の顔色をうかがうのではなく、本当の意味で県民・地元・市町・地域のほうを向いて仕事をする。それこそが評価される人事評価制度を導入したいと思っています」
チームワークが勝敗を分けるラグビーが好きだという稲村さんが、とりわけ重要視するのは「対話と信頼」です。
(稲村和美さん)「声がええ感じになってしまいまして、お聞き苦しいかと思いますけれども。もうこれ以上の停滞はやっぱり良くないんです。私たちの生身の生活が懸かっている選挙です」
声を枯らしながら、街頭で演説を続ける日々。いまの思いは?
(稲村和美さん)「私は、兵庫県が分断されるということではなく、みんなで新しい兵庫県で前を向いていけるような『まっとうな選挙』といいますか、そういう選挙になることを願っています」
前兵庫県知事 斎藤元彦さん
返り咲きを目指すのが、前知事の斎藤元彦さん(47)。
(前兵庫県知事 斎藤元彦さん)「反省すべきは反省し、そして改めるべきことはしっかり改めていく。自分を見つめ直して、いい県政を必ず実現させていく。これが私の思いです」
これまで取り組んできた経費削減の実績を挙げて「身を切る改革」の継続を訴えます。
(斎藤元彦さん)「この3年間で、いろいろな施策の改革・芽出しができていますので、さらに飛躍させることができるのは斎藤元彦が適任だと思っています」
失職直後、出発の地に選んだのは、3年前の選挙と同じ地元の神戸・須磨区でした。
(斎藤元彦さん)「原点に帰るという気持ちで、駅前で県民のみなさんに、まずはご挨拶をさせていただいた」
当初、その戦いぶりは孤独にも映りましたが、SNS上では斎藤さんを応援する動きが活発化。大きなうねりとなって現実の世界へと波及していきました。
11月12日には…
(記者リポート)「三宮の中心部に来ました。大勢の人が集まっていて、聴衆の視線の先にいるのは、斎藤元彦前知事です。ものすごい人だかり、そして、いま拍手が起きています」
平日にもかかわらず、演説には多くの人が。
(斎藤元彦さん)「9月末に失職して、県庁を1人で去りました。本当にその時はひとりぼっちだったんです。『斎藤さん負けたらあかんで』『頑張ってや』、そんなことを言ってくれる方も少しずつ増えてきた。SNS上でも、『#斎藤前知事がんばれ』が広がってきました。本当にうれしかったんです」
共産党推薦・医師 大澤芳清さん
共産党が推薦する大澤芳清さん(61)は、医師として勤務しながら知事選への立候補をいち早く表明しました。県職員がのびのびと働ける環境を整えることが、県民のためにもなると訴えます。
(共産党推薦・医師 大澤芳清さん)「県民にとって何が必要かを考え、自由に話し合える組織作りが、いま県庁に求められています」
県が推し進めたとされる一連の“告発者さがし”については厳しい言葉を並べます。
(大澤芳清さん)「知事と幹部職員が告発をつぶそうとしたことは大きな問題です。二度とこうした事態を起こさないために、組織作りとリーダーである知事の役割はとても重要です」
病院で院長や理事を務める中で立候補への思いが芽生えたという大澤さん。最大のきっかけはコロナ禍で直面した医療現場での苦悩でした。
(大澤芳清さん)「重症の患者さんを高次医療機関、重症の治療ができる病院に送ることができなかったことがきっかけですよね。理由としては高齢を理由にあかんよと県から言われましたので。命は年齢とかに関係なく重んじられるものだと思っています」
政策発表の会見では、医師としての経験を生かして「弱者を守る政策」を推し進めていきたいと熱を込めました。
(大澤芳清さん)「政治の世界は、まったく初めてで経験はありません。県民が安心できるような暮らしを支えていきたいなと思いますので、政治と医療がまったく違うとは思っていません」
レコード会社・社長 福本繁幸さん
知事選にはほかにも3人が立候補。
レコード会社・社長の福本繁幸さん(58)は県政の正常化のほか、子育て支援の強化や高齢者向けの地域包括ケアシステムの導入を訴えています。
(レコード会社・社長 福本繁幸さん)「私は個人的に人の批判をしないというのを基本にしています。県政がもし悪い方向に行っていたとしたら、それは修正すればいいことです。正しい方向にもっていく」
政治団体・党首 立花孝志さん
政治団体・党首の立花孝志さん(57)は自身の当選は目指さないとしたうえで、選挙戦を通じて斎藤前知事を合法的にサポートするとしています。
(政治団体・党首 立花孝志さん)「『斎藤前知事は悪いやつだ』と思いこまされているんです。これは守りにいかなあかん、助太刀しにいかないといけない。すごく変則的ですが、当選を目的としない選挙に今回は臨ませていただいています」
ニュース分析会社・社長 木島洋嗣さん
ニュース分析会社・社長の木島洋嗣さん(49)は、兵庫県と大阪府を合併する関西州構想を掲げる一方、斎藤前知事の改革路線は引き継ぎたいと訴えます。
(ニュース分析会社・社長 木島洋嗣さん)「斎藤さんの改革路線は完全に継続します。職員の方とのコミュニケーションとかは改良する点がありますけれども、政策面については私は完全に継続したい」
過去最多となる7人の候補者が知事の座を争う選挙戦。兵庫県民は誰をリーダーに選ぶのでしょうか。