かつ丼は置いていない、もう一つの『吉兵衛』。センタープラザ西館の地下1階の奥で、ひっそりと営業している。

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 神戸で『吉兵衛』といえば、誰もが『かつ丼 吉兵衛』を思い浮かべるのではないだろうか。
 季節の移ろいを感じさせない、センタープラザ西館の地下1階にあるカウンターのみの店だ。ランチ時には、スーツを着たビジネスマン達が集い、列をなす。

 『吉兵衛』はもともと、『かつ丼 吉兵衛』のさらに奥にある片隅で、『天丼 吉兵衛』として産声をあげた。先代がかつ丼を始めてみたところブームとなり、その後店を拡張して、現在のように展開していったのだという。

 今ではかつ丼の方が有名になったものの、クレイジーケンバンドの小野瀬雅生さんを始め、『天丼 吉兵衛』の熱狂的なファンも多い。今回はこちらを紹介したい。

 甘辛いたれが染み込んだ熱々のご飯の上に、とろりとした玉子でとじられた海老2匹、大葉、そして海苔の天ぷらがのっかる。あかだしも忘れてはいけない。それらを思い切り掻っ込んで、口の中を火傷しながらはふはふと頬張るのが旨いのだ。

 長居は厳禁。「ペチャクチャお喋りして、居座る人は出禁ですねん」と大将は冗談めかして言う。当の本人が一番お喋りで、いろいろな話をしてくれる。

天丼650円、天玉丼700円、あかだし50円。

他にメニューは置かない潔さ。

『天丼 吉兵衛』

住所/兵庫県神戸市中央区三宮町2-11-1 センタープラザ西館ビル地下1階A

※こちらの記事は、関西の食雑誌「あまから手帖」がお届けしています。

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