AI使用で誤情報垂れ流し...福岡県キャンペーンの運営会社謝罪&記事削除 後援自治体はAI使用知らされず
民間企業が運営する福岡県の地方創生キャンペーン「福岡つながり応援」で、生成AIを活用した記事コンテンツで誤った情報を配信していたとして、運営会社が謝罪した。2024年11月7日、「つながり応援プロジェクト」公式Xでコメントを発表した。該当記事は同日までに削除されている。
「人的確認のうえ発信」でも間違い多数
同キャンペーンは、ファーストイノベーション(東京都中央区)が運営している全国の地域活性化支援プロジェクト「つながり応援プロジェクト」の一環として行われているものだ。公式サイトでは、同プロジェクトを「人と人との"つながり"で、全国を"応援"する官民連携の地方創生SDGs"プロジェクト"」と説明。これまで山口県や沖縄県で実施されており、11月1日から福岡県版のキャンペーンが開始された。
「福岡つながり応援」キャンペーンでは、福岡に関する写真の投稿を呼びかけるプレゼントキャンペーンや、地域課題を把握するためのオンラインアンケートを実施。タレントの清水国明さんらが「キャンペーンリーダー」、福岡市と飯塚市が「後援団体」、複数の民間企業が「共創企業」として同キャンペーンのサイトで紹介されている。
しかし、11月6日頃からXでは、サイト上に掲載された記事コンテンツに、存在しない施設など誤った情報が掲載されているとの指摘が相次いだ。
こうした指摘を受け、「つながり応援プロジェクト」の公式Xは7日、「誤った情報により、皆様にご迷惑とご不安な思いをおかけしましたこと、深くお詫び申し上げます」と謝罪した。
そのうえで、記事コンテンツについて福岡の魅力を広く発信することを目的として「生成AIを活用してメディア記事を作成し、人的確認のうえ発信してまいりました」と説明。「人的確認」があっても誤った情報を掲載していたことになる。記事コンテンツはすべて削除し、配信も一時停止しているという。
「皆様から応援いただいている中で、福岡県の魅力を正確にお伝えすることは、私たちの重要な責務であると考えています」といい、今後について「正確な情報収集の徹底」「複数人による確認体制の強化」「コンテンツの見直し」を行い「皆様の信頼にお応えできる発信を目指して努めてまいります」と伝えた。
また、続く投稿では「生成AIでのメディア作成は一切行いません」と宣言。「人的な作成に関しましても、本件を真摯に受け止め、メディア自体の運営を慎重に検討させていただきます」としている。
後援自治体「情報が正確であることは最低限のこと」
「福岡つながり応援」を後援しておいるである福岡市と飯塚市は、今回の事態をどう受け止めているのか。
福岡市の観光マーケディング課長は、キャンペーンとの関わりについて、金銭のやり取りや人的支援のない「名義後援」だと説明。今回の誤情報の発信について、「金銭のやり取りはないとしても、今回、福岡市の観光の魅力の発信に効果があるということで連携させていただきました。当然、情報が正確であることは最低限のことだと考えています」と話す。
運営側に対しては、指摘が寄せられたタイミングで、経緯を整理したうえで報告するよう伝えたという。さらに「今後、誤情報が発信されないよう再発防止策を考えてください」「誤った情報は発信しっぱなしにならないようにしてください」とも伝えているとした。
キャンペーンで記事を掲載することは把握していたものの、「生成AIを使うというのは把握していなかった」と話した。
飯塚市の商工観光課の担当者によると、飯塚市もキャンペーンへの後援は「名義後援」。運営側に対しては、謝罪文が発表されるよりも前に連絡し、正確な情報発信を要請した。さらに謝罪文発表後の8日にも、今後の運営方針について確認の連絡をしたと話す。
飯塚市の担当者も、記事の作成方法については「AIをメインにして情報発信するという認識はなかった」と話している。
J-CASTニュースはファーストイノベーションにも8日に取材を申し込み、8日、11日と複数回電話で改めて取材を試みたが、期限を過ぎても回答はなかった。回答を得られ次第、追記する。