ノンアルコールビールの酒税は本当に「0%」ですか?ビールより安いのは確かですが「発泡酒」とあまり値段が変わらない気がします…

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ノンアルコールビールは、近年の健康志向や飲酒運転への厳罰化などを背景に人気が高まっています。しかし、価格設定について疑問を持つ消費者もいるのではないでしょうか。 この記事では、ノンアルコールビールと酒税の関係や、価格設定について調べてみました。

ノンアルコールビールとは

酒類とは、アルコール度数が1%以上の飲料を指します。そのため、含まれるアルコール度数が1%未満で、ビール風味の飲料が「ノンアルコールビール」(またはビールテイスト飲料などとも呼ばれる)です。
ノンアルコールビールには、大きく分けて醸造後にアルコール分を除去したもの、アルコールの発酵をおさえたもの、アルコール発酵させないものの3種類があります。味や香りはビールに近く、ノンアルコールでありながらビールの風味を味わえることが特徴です。
 

ノンアルコールビールには酒税がかからない

酒税は、アルコール度数が1%以上の酒類に課される間接税の一種です。この定義により、ノンアルコールビールは酒税が課税されない商品となり、酒税は0%となります。
ノンアルコールビールとともに、ビールよりも気軽に飲めるお酒として「発泡酒」があります。発泡酒は麦芽または麦が原料で、発泡性を有し、アルコール度数が20%未満の酒類を指します。
 

ノンアルコールビールは発泡酒よりも安い?

酒税がかからないノンアルコールビールの価格は、アルコール入りの発泡酒よりも安くなるはずです。
しかし、実際の店頭価格を見ると必ずしもそうではありません。表1に、あるメーカーのノンアルコールビールと発泡酒の価格(1本350ミリリットル)をまとめました。
表1

品名 1本あたりの価格(税抜き) ノンアルコールビール 99円~189円 発泡酒 135円~215円

※2024年11月現在のネットスーパー価格を基に筆者作成
商品によってはノンアルコールビールが発泡酒を上回るものもあるようです。
 

発泡酒よりも高いノンアルコールビールがある理由とは?

ノンアルコールビールは、発泡酒に比べて製造コストが高い場合があります。アルコールを除去する工程や、アルコールを生成せずに風味を再現する技術など、特殊な工程を経て製造されるためです。
また、ビール市場が縮小する中、ノンアルコールビールは比較的新しく、また今後も伸びることが期待されており、メーカー各社がシェアを伸ばすために競って力を入れている市場とされています。消費者の認知度向上や需要喚起のためのマーケティング費用も必要であり、その分価格に上乗せされる可能性があります。
また、より本物のビールに近い味や香りを実現するための研究および開発には、多額の投資が行われていると考えられます。このように、ノンアルコールビールには多くのコストが必要です。そのため、酒税が課税されていなくても発泡酒よりも高い商品があると考えられるでしょう。
 

ノンアルコールビールの注意点

ノンアルコールビールはアルコールを含むビールとは味わいが異なるため、風味が物足りなく感じることがあるかもしれません。
ノンアルコールビールはビールよりもカロリーが低めであることが多いですが、商品によっては糖分や人工添加物が含まれていることもあるため飲みすぎには注意が必要です。
また、ビールと同様に酒のアテと一緒に飲む場合は、脂っこい食べ物やおつまみなどを食べ過ぎてしまう可能性もあり、ダイエット中の人には向いていないといえる面もあります。
 

ノンアルコールビールの酒税は0%だが、製造コストなどにより必ずしも発泡酒より安くならない面がある

ノンアルコールビールはアルコール度数が1%未満であることから、酒類には含まれません。そのため、酒税は0%となり、一般的にビールよりも安価に販売されることが多いでしょう。
しかし、酒税が課税されないにもかかわらず、アルコールを含む発泡酒と価格がそれほど変わらないことがあります。その理由は、原材料や製造工程の違い、マーケティング費用や広告宣伝費、研究開発費などが影響していると考えられます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー